一次創作
アスファルトに滲む

(2010/03/19)

(心中失敗例 不健康)



ざーざーと雨が降りしきり、アスファルトを濡らしていく。アスファルトというより、ただのコンクリート。転べば、擦り傷は簡単にできるだろう。膝を着けば、皮膚に突き刺さりそうだ。そのくらい、粗暴な場所であった。
二人は冷たい雨に体を冷やした。しかし、雨など、気にしてなどいないらしい。傘を差さない代わりに、二人の手にはナイフが握られていた。
男はナイフを女の胸に刺そうとしていた。女は刺される前に、ナイフで自身の胸を抉った。こぽこぽ、と口から血が溢れてくる。女は苦しみながらも、笑っていた。なぜ、と男は笑わなかった。男が女の胸を貫き、女は男の胸を貫く。それで終わるはずだった。


「生きて」


たった三文字の言葉が、男を縛る。
女は男の罪も余計に背負い、死んでいった。
男はナイフを捨て、屍を置いて、その場から走り去った。





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失敗、ぼつ。



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