一次創作
噛み砕く色彩とドロップ

(2010/06/25)



――私、幸せだなぁ
つい最近のことだ、彼女はそう言った。その日に限らず、彼女はいつも、幸せそうに座っていた。俺は、暢気なやつだ、くらいにしか思っていなかった。ただ、あいつの周りは、常に明るい色彩をしていた。あざやかな暖色のイメージで、暗い寒色のイメージはまったくなかった。そんな彼女を少しだけ羨ましく思いながら、俺は静かな学校生活を送っていた。
今日、知った。彼女は、重い過去を持っていた。俺なんかが口にしてはいけない気がした。風の噂に、それを聞いてしまっただけだ。
それから、彼女の周りに、寒色も混ざって見えてきた。
俺の錯覚だった。彼女は典型的な、明るく元気な子、だった。噂に左右される自分が、なんだか幼く思えた。
通学途中のコンビニで、ドロップを見つけた。思わず買ってしまった。衝動買い、というやつだ。
缶を開けて、ドロップをひとつ取り出す。黄色だった。なんとなく、なめてみる。甘い。あまり好きではない味だった。
教室に入ったら、偶然にも、彼女と二人きりになった。女の子なら甘いもの好きかな。そんな偏見で、彼女にドロップをあげた。出たのは、桜色をしていた。彼女はありがとう、と笑った。俺もつられて笑ってしまった。素直に笑うのは、久しぶりかもしれない。
突拍子もなく、聞いてみた。
――今、幸せか
彼女は、幸せだと答えた。俺も幸せだと思った。
幸せって、こういうことなんだ。俺の今まで生活は、砕けた。





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お題の解釈が、違うと思うんですよ。
「色彩」と「ドロップ」をいれて爽やかなのイメージしたら、こうなってしまった。




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