無双
響く雨音、夢みてた

(2010/06/21)

(諸司馬?)





司馬懿を囲むように、花が咲いていた。ここは美しい花畑の中だ。
この色鮮やかな景色を見れば、あの主君はきっと詩を詠むのだろう。花絨毯に相応しい、綺麗な詩を――
残念ながら、自身には、詩作の才はない。情感に浸るよりも、現実を見、先を見透かすのだ。
だから、これは夢に違いない――
司馬懿の視界の片隅には、諸葛亮がいた。
ひどい夢だな――
ひどく、残酷だ――
諸葛亮に向かって、一歩ずつ、ゆっくりと、しかし足早に、司馬懿は歩いていく。その距離はなかなか縮まらない。諸葛亮はまったく移動していないというのに。当然、司馬懿も足を止めてはいない。


「……っ、諸葛亮!」


叫んでしまった。
うっすらと、か細い笑みで、諸葛亮が振り向いた。それだけだった。
昼間の空なのに、星が落ちた。その星は、赤い色をしていた。
一面に咲く花は、知らぬ間に燃えていた。



――司馬懿の頬は涙が濡らす。
優しくて痛い雨粒は、庭先の花の芽に潤いを与えていた。




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藍日

解釈はご自由に。




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