無双
続・孔明の浪漫【濡れた髪】

(2010/05/27)

諸司馬
孔明の浪漫 の続き






傘を傾けて、隠れて、口づけを交わした。司馬懿にとっては、交わしたというより、された、といったほうが正しい。人通りのない場所で、幸いだった。
離れたとき、司馬懿の息は若干上がっていて、腰には諸葛亮の手が回っていた。司馬懿は真っ赤な顔で諸葛亮を睨み付けるが、あまり効果はなかった。諸葛亮のにやにやと笑う顔が、素直にむかついた。


「髪が、」


濡れてしまいましたね――
諸葛亮の手が、司馬懿の黒髪を撫でた。傘を傾けていたせいで、余計に面積が狭まってしまったのだ。


「それに、とても冷えているでしょう」


誰のせいだ、と言いたげな唇は、諸葛亮に塞がれた。
離れたかと思うと、耳元で囁かれた。


「乾かさなければ、風邪をひきますよ。よければ、私の部屋に、寄っていきませんか」


耳元で感じる息と艶の声に、体から力が抜けそうになる。腰に回された腕が、非常に厄介だ。拒みたいが、拒めないのも、厄介だ。


「行きましょうか」


はめられた。最初、傘に入られた時点で、もう司馬懿が負けていたのだ。気づいてはいたが、そこで認めるのは、司馬懿の自尊心に傷がつく。
結局は、手をとられ、そのまま諸葛亮のテリトリーに案内されてしまった。
いつもいつも、わかっている展開なのだ。それでも、なぜか、司馬懿には抜け出すことができなかった。
冷えた体、けれど寒く感じることはなかった――





----------------
諸司馬推進委員会、今日付けで発足、会員は私一人。←




|

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -