蜀の和気藹々
武人はフリにもならず
(2010/05/10)
「我が名は呂布、我に挑むは、誰なのだ!」
きらびやかな金の装束、最強を具現化した戟、気迫はまるで鬼のよう。天下無双とは、まさに彼のことなのか。
その呂布と対峙するのは、劉備、関羽、張飛の三人。
それぞれ武器を構え、刃を交えた。しかし、軍配は呂布に上がるのだった。
「――あれは苦い思い出だな」
あのときのことを思い出しながら、劉備はため息を吐いた。幸せが逃げそうだ。傍らの諸葛亮は、いつも通りの笑顔である。
それにしても……
「殿ってため息姿が似合いますよね」
「うるさい、ほっとけ」
諸葛孔明、KY疑惑浮上。
「おい、孔明や」
「張飛殿、どうかされましたか」
神妙な顔つきをした張飛に、劉備は少しの期待を抱いた。この不思議系天才軍師に、文句のひとつも言ってくれ、と……
「劉備の兄さんはため息だけじゃなくて泣きっ面も似合うんだ」
「ため息ねたを引きずるな。それ以前に何を言ってるんだ、お前は」
あれ、なんだか弟まで不思議系の仲間入りしそうな雰囲気だ。誰か、助けて。
「どうしてくれようか、子龍」
「殿、張飛殿は、間違っていないです」
「子龍……」
さりげなく、いや、思いっきり、失礼だ。
「というか、あの呂布をフリに使って、これなのか?」
劉玄徳、本日二回目のため息。
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蜀の和気藹々、何度も言うがフィクションなのだよ。
登場人物は、
劉備、諸葛亮、張飛、趙雲、フリ?で呂布。
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