一次創作
あの丘の教会にて
(2012/09/22)
いつかあの場所で結婚式をあげよう。
窓から見える小さな協会を指差して、年下のあいつが言った。無理だよ、と冷静に返すけれど、聞く耳なんて持ってくれなかった。
きっと、もっときれいに見えるんだろうな、お前は。
素直な言葉を投げ掛けられて、らしくもなく照れてしまった。そうやってほだされて、付き合ってやってもいいかと思ってしまったのだ。
今はもう、結婚式をあげてくれる相手がいない。
あの小さな協会の小さな墓地で、青年はゆりの花を手に涙を流した。
凍った川の魚は死んだ
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