一次創作
ぼたんとゆめ

(2012/09/17)

チャットルーム。
「これが噂の〜」の帰宅後。




「牡丹……、新作、あれはなにさ」
帰宅したと思えば、妹がリビングでパソコンの画面を見ながら言ってきた。三島はカバンを置いて、キッチンでグラスと麦茶を取り出した。しっかりと、二人ぶんだ。氷も入れて冷やす。
「なにさ、とは」
グラスの中で、氷がカランと音を立てた。夏の風物詩だと思っている。はて、かき氷が食べたくなった。
「久しぶりにサイト更新したかと思ったら、めっちゃ一次だし。しかも薔薇じゃない」
「私、別に、BL専とは宣言してないし」
「いや、まぁ、そうだけどさ」
製氷器に水を入れて冷凍庫へ入れる。そして麦茶を飲み干して、三島は着替えるために自室のある二階へ上がった。

受験も近いわけで、同人活動はしばらく休止することにした。三島のペンネーム、花守が管理するサイトに、長期の更新停止宣言とともにひとつの作品がアップされた。それは、三島が夕陽をモデルに書いた、あの恋のお話だ。
本にすることも考えたが、やめた。代わりに、個人サイトで公開してみた。評価はわからない。しかし、妹のような反応が多いのかもしれない。
三島の夢は、文学者になることだった。学者とはまた、突拍子もないかもしれない。しかし、好きなものにずっと深く接していられると思ったのだ。
何かが好きだから、一生懸命になれるから。進路なんて、このくらいにしか考えていないのだ。




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