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冷たく凍てついた湖の底で、春を待つふりをして眠りましょう

(2012/03/01)

ロシア




冬は寒くて寒くて堪らないんだ。マフラーを巻いて、温かいコートを着て、暖炉で温まりながら、じっとして春を待つ。
寒くて死にそうだ、と言いながら君が用意してくれたホットワインは、すごく美味しかったよ。お礼に僕が、夕飯をごちそうするね。熱々のピロシキに、ボルシチを作ろう。お姉ちゃんが特別なレシピを教えてくれたんだ、きっと美味しいよ。

外は吹雪で、とてもじゃないけど、外には出られない。部屋の中ですらこんなに寒いのだから、外に出たら、きっとすぐに死んでしまう。
止まないね。僕が呟いても、あの人は返事をしてくれない。
寒いね。僕が体を震わせても、あの人はホットワインを作ってくれない。
時の流れは、寂しいものだね。ふと気づいたとき、僕は落ち着かなくなって、ウォッカを飲んだ。忘れよう、またあの人に出会えるまで。





風雅



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