無双
歴史は常に勝者によって語られる

(2012/02/28)

せんむそ 1615




何が正しくて、何が間違っているのか。そんなことには、もう興味がない。名誉や金もだ。今はただ、自分が思うままに動きたかった。それだけのことだ。

惜しいことだ、と大将は肩を落とした。この離反は許しがたい。心強い味方を、一人、譲ってしまった。

城に入った二人の武将を見て、怪訝な顔をする者は少なくなかった。敵だったはずの将がいきなり味方にいれば、それも無理はない話だ。文句の一つもあっただろうが、それは彼らの気迫の前に消えた。
「変な人ー」
突然現れて一言吐き捨てた忍びに、短気な武将は怒鳴りかけた。もう一人が止めたものの、血気盛ん、あるいは緊張で張り詰めた空間では、忍びの発言が許せざるものだった。しかし、忍びの言うことももっともだ。
「わざわざ命を捨てに来たようなもんだよ、旦那さんら」
「重々承知だ、そんなこと」
「へーへー。こっちも仲間が多ければ、助かるけどね」
死んじゃわないでね、らしからぬことを言って、忍びは去った。
命など、あってないようなものだった。
朋はいない、父はいない、母もいない。あるのは脱け殻の家だけだ。失うものはもうない。ならば、後は好きにするだけだろう。
「出るぞ」
槍を構えた猛将二人に、怖じ気づく敵は多かったが、彼らが再び城に入ることはなかった。
「どいつもこいつも、ほんとに、わけわかんないって……」





レイラの初恋




|

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -