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大人になりたいと祈った子どもの話

(2012/01/27)



「大人になったら、誰よりも強くなるから」
そうしたら、イギリスのことだって、フランスのことだって、みんなを守ることができるね。

偉いね、格好良いね、と言ってやると、アメリカは得意気に笑った。
何言ってるんだ、こいつは。そう思っている人のことも知らないで。意地悪く、その人は、小さなアメリカにこう言った。幸せなやつだな、お気楽なやつだ、お前は。

今、彼は笑いながら、こう答える。
「幸せそうに見えるのかい? 楽しているように思えるのかい?」
だったら君は、幸せなやつだね、お気楽なやつだね。



日本の家に遊びに行けば、家主は怪訝な顔でアメリカを見た。小さな女の子を抱えていて、その子は今にも泣きそうだった。
「何をしていらっしゃるのですか……?」
「迷子になったらしいよ、この子。放っておくにはいかないじゃないか」
「そうですか」
アメリカが女の子を降ろすと、目線を合わせるために日本がしゃがんだ。彼と目が合って、緊張の糸がほぐれたのか、寂しさを思い出したのか、わっと泣き出した。
「申し訳ありませんが、私はこの子のお母様を探してきますので、どこかで待っていてくださいませんか」
日本の困ったような、冷ややかな目に、アメリカは気づかないふりをした。

結局、お前は誰かを守れたのか。独り言のように、コーヒーを飲んで、新聞を読みながら、彼は言った。
「俺は、守ってるよ」
「そうか。そりゃ、結構」





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風雅




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