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あなたがいない鮮やかな世界

(2012/01/21)



ドイツは今日も厳しい顔で会議に出て、日本は初雪に困った顔をしながらアイスを食べていた。イギリスとフランスはひょんなことから喧嘩を始めて、ロシアはウォッカを飲んでテンションが上がっていた。アメリカはポッターワールドで鼻くそ味のお菓子を食べて、カナダが苦笑いしながらスーベニアショップでグッズを見ていた。中国がシナティちゃんのお腹に顔を埋めていて、韓国と香港は後ろから突進する用意をした。ロマーノはコートのポケットに手を突っ込んで無言になって、その隣でスペインがお喋りを続けていた。ベルギーがワッフルを焼いている間に、オランダは新聞に目を通し、ルクセンブルクはタンタンの本を読んでいた。スイスは真面目な顔で働いていて、リヒテンシュタインは兄のことを考えながら裁縫に勤しんでいた。オーストリアも涼しげにピアノを弾いていたし、それに合わせてハンガリーが歌っていた。スウェーデンがラドニアとうまく遊んでやりながら、フィンランドは暖炉に薪をくべて、ノルウェーはコーヒーを作る過程で一人ぶんだけ墨に変えた。デンマ
ークが勢いよく墨を吹き出して、アイスランドが冷めた顔で兄を見た。

世界は今日も変わらない速さで回っている。著しい変化は訪れず、いつも通りという平和と安心のなかにいた。
「今日はピッツァを焼いたよ、マルガリータにしたんだ」
イタリアは誰にともなく呟いた。






藍日




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