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君が瞬きをする間に流れた幾つもの星のはなし

(2012/01/19)

孫呉





皮肉なものだ、勇将の死を急かしているようだ。天を見上げ、周瑜は忌々しげに星を睨み付けた。
 ――周瑜、そこにいるのか。
音になるかならないかくらいの声を、周瑜は聞き逃さなかった。
「孫策、起きていたのか」
「起きていたいんだ、眠りたくねぇんだ……」
起き上がろうともがく彼には、もうそんな力は残っていない。周瑜は何も言わずに、孫策の傍に腰を下ろした。薄く開いた瞳は、力を失ってはいない。しかし、わずかな光しか届いていないだろうことは、容易にわかった。
「熱いな、陽が上ってんだな」
周瑜は、あぁ、と言った。それで孫策が笑う(そんな風に見えた)。
「外、出てぇな」
痛いほど理解できてしまうことが、周瑜を苦しめていた。孫策がもう動けないこと、あと数刻も残されていないこと、願いは叶わないと思い知らされるのだ。


「周瑜様、妹を、小喬をよろしくおねがいします」
「姉上、どうなされるおつもりですか」
「私は、もう、ここにいられないのです」
大喬の静かな瞬きに、周瑜は彼女の強さを知った気がした。






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etoile

めんどうになったんよ、同じような断金ねたばかりだし




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