無双
泣いても良いよ(俺が涙を拭うから)

(2012/01/08)

星彩と趙雲



彼女は泣かない、つらくても、かなしくても、涙を流さない。彼女が幼い頃から武術を指導してきた趙雲はそれを知っていた。どんなに険しいことでも、彼女は何も言わずに耐え凌いできた。それが彼女、星彩の強さだった。
しかし、いくら根がしっかりしていようとも、所詮は年頃の娘だ。幼馴染みを失い、次いで父を失い、それで傷つかないほど、彼女は冷たい人間ではない。劉禅を守るという使命のもと、彼女は気丈に振る舞っている。無理をしてはいないか、と趙雲は心配だったのだ。
そんな折、城の外れにたたずんでいた星彩を見つけた。陽も暮れてきた時間帯に、一人、見え始めた星を眺めているようだった。
「星彩、風邪をひくぞ」
彼女にしては珍しく、ぼんやりとしていたのか、趙雲が近くにいたことにも気づけなかったようだ。急に話しかけられて、動きがぎこちなかった。
「趙雲殿、申し訳ありません」
「何を謝る。中へ入りなさい、劉禅様が心配なさるだろう」
趙雲の気遣いに、星彩はそっと目を臥せた。








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気が向いたら、書くけど……

秋桜-コスモス-




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