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幼さと自由の象徴

(2011/12/05)

蘭と日




静かなようで静かでない、そんな日が続いていた。できればかのまま何事もなく、のんびりと暮らしたいものだ。
そんな感じでぼーっとしながら、日本は茶を飲んでいた。今日は上司もゆっくりしているのだろう、おかげで日本も仕事がない。
「平和とは、こういうことを言うのでしょうね」
縁側に出て、庭先の木々を見た。もうすぐ本格的な冬がやって来る。日差しが暖かく、忘れそうになるが、そろそろ暖をとる用意も必要だろう。枝先の焦げ茶色の葉が、はらはらと落ちていた。

「日本、お客さんやで!」
元気な呼び声に、日本はふと意識が反れた。もう少しぼんやりと景観に馴染んでいたかったが、仕方がない。重い腰をあげて、慌てずに歩いた。
「遅いわ、寝てたやろ!」
「そんなことはないです、ただ冬の訪れを、眺めていただけですよ。日も短くなりました、と」
「そやなぁ、肌寒ぅなってきとるしなぁ。……ちゃうねん、客人や」
だいぶ待たされた客人は、呆れたように息を溢した。案内の彼はさっさと去っていく。ついで客人は、手に持っていた花束を日本に押し付けた。
「いつもありがとうございます、オランダさん」
「漫才せんで、とっとと入れろ、寒いんじゃ」
珍しい白い花を手に抱えながら、日本は温かい茶のことを考えていた。花は生けて飾ろう、それを眺めながら茶を飲んで菓子を食べるのも一興か。
客を放って楽しげな考え事に更ける日本に、煮えを切らしたオランダのでこぴんが当たった。これがまた痛い。二度目を食らうわけにもいかない。花の香りを深く吸ってから、日本はオランダを奥へ迎え入れた。
「お花、相変わらずきれいです。いい香りもします」
「気に入ったならよかったわ」
ぶっきらぼうに言うオランダに、日本は彼らしい穏やかな笑みを向けた。





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鎖国時代のお兄ちゃんと日本さん。

Guilty




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