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泣いておくれよ、飛んでいくから。

(2011/12/02)

希日ぼつ





ときおり、皆さんが本当に羨ましくなるのです。広い視野で考えますと、私のこの「性格」というのは、まったく美徳などではないのです。何を考えているのか分からないと言われることがあります。私のことを知ることができないとも言われます。そうですね、皆さんの言う通りです。私のこの「性格」は、私の個性です。悪いことだとは思いません。しかし、寂しいと感じることもあります。まっすぐに誰かに気持ちを伝えられなかったとき、悔やむこともありません。言わなくてもわかってくれ、などは、実はおこがましいことなのかもしれませんね。私はもっと、堂々とするべきなのでしょうか。

ギリシャが倒れた、と日本に連絡を入れたのは、トルコだった。いってやってくれ、と言われ、日本は最低限の荷物をまとめて、家を飛び出していた。
キプロスに看病されながらベッドに横になっていた彼は、顔が赤く、苦しそうにしていた。部屋に入って、こんにちは、とだけ言った日本に、ギリシャの返事はない。
「あとは頼みましたから」
日本に何かを手渡して、キプロスは帰っていった。何かは、鍵だった。ギリシャの家の鍵だった。しばらく、帰れそうにない。
ベッドの端に腰掛けて、日本はギリシャを見つめた。端正な顔に汗が浮かんでいた。ハンカチでそれを拭うと、ギリシャがうっすらと目を開けた。
「日、本……?」
「あら、起こしてしまいましたか」
無意識にか、体を起こそうとするギリシャを、日本はそっと押さえつけた。





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酸素

このあと、どうするつもりかを、忘れた




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