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想いはいつか・序

(2010/04/21)

(伊真)





(戦って、戦って、勝つために倒す)
(けれど、アンタは――)





暑さがきびしい日だった。空に雲はなく、太陽を遮るものはない。二度にわたる大阪の合戦も、もうじき終わろうとしていた。
呆気ないものだ。天下は定まらない。落ち着いたかと思えば、またすぐに変動するのだ。己が目指す天下とは、はたして如何なものだろうか。
それでも――


(いつかは俺が、頂に上がってやる)


猛々しき竜の野心が潰えることはない。病に倒れた家臣のためにも、自分にここで果てることはできない。


「政宗様……」
「Don't worry.日の本安定の決戦だ。お前ら、派手に楽しめよ! Partyの始まりだッ!」


独眼竜伊達政宗にとっての決戦――それはかつての虎若子、紅蓮の鬼こと真田幸村との最終決戦を指していた。


(この戦で俺はアンタと戦う。そして、アンタは死にな)


ちくり、と胸が痛む。
伊達政宗は東軍、真田幸村は西軍。
圧倒的な力の差は目に見えていた。誰もが、東軍の勝利を信じている。そんな状況でも、あの男の覇気は消えない、と政宗は確信している。
正直に言えば、東軍の勝利に興味は無かった。今、彼にとって大切なのは、幸村との勝負のみなのだ。


数多くの兵の夢が儚く散っていく。
それは元和元年五月の頭、涼風そよぐ初夏のことだった――





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伊真の続き物です。舞台は大阪夏の陣、誉田の戦い。しかし、捏造です。名前だけで、史実無視です。

そして、最後の話が書けなくなったので、こちらに放置。




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