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反・時計回り

(2011/10/15)

イギリス娘(ロザ)、フランス娘(ヴィオレット)、アメリカ娘(アメリア)




時間よ、巻きもどれ!
箒を片手に、ロザは小さく叫んでみた。さすがに、できるはずがない。
「あら、ロザじゃないの、何をやっているのかしら」
昼間っからワインで泥酔した女がやって来た。来たな、この変態女! 出会い頭にロザが悪態を吐いても、変態は、口が悪いわね、と冷静に返してきた。むかつく。
「それで、何をやっているのよ」
「ヴィオレットには関係ないことなの」
「そう、なら、私が知っても問題ないわね」
「……この、オバサンのくせに!」
「小娘ほど乳臭くないだけよ」
ああ言えばこう言う。ロザは怒りを沈めようとスカートを握りしめた。
「なに、また黒魔術? いやねぇ、こんなにいい天気なのに、陰気臭いわ」
やっぱり無理だ。ロザは箒をヴィオレットに向かって降り下ろした。しかし、予期していたようで、ヴィオレットは余裕にかわした。
「いい年して、何してんの」
また厄介なやつが現れた。女性的な体で、バットを振り回すやつ、またの名をアメリア!
ロザがキッと彼女を睨んだ。しかしアメリアは気づかない。
「ロザがね、また黒魔術をしていたのよ」
「そんなの、いつものことでしょ。ま、そんなの、このアメリア様には通じないけどね!」
「アメリアを呪おうとしてたの、ロザったら」
「……あ、アメリアもヴィオレットも大嫌いだ!」
素敵な言葉を残して走り去るロザを、二人は気にする素振りもなく見送った。アメリアに限ってはあくびをしていて、実に退屈そうだった。
「かわいいわねぇ、食べてしまいたい」
「発言がいかにもおっさんっぽいよ」
「あんたはかわいくないわ、もっと年上を敬ったらどうなのよ」
「え、あたしが一番に決まってるっての」
「昔が懐かしいわ……」
ロザの黒魔術も、そういうことかもしれない。




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薄声




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