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おじいさんの古時計

(2011/10/10)

日本さんのお掃除




物置に置かれたままの古時計は、ほこりをかぶっていた。いったいどれくらい放置していたのか、持ち主でさえもわからない。ざっと百年ほどだろうか。たしか、アメリカからもらったものだ。何かの記念品か、それともただの使い回しか。
日本は手で軽くほこりを払った。黒板の針は、中途半端に二時十三分を指していた。現在は四字二十五分。時計は止まっていた。
家の雰囲気にどうも似合わなくて、いつかこの物置にしまってしまった。なつかしいものだ。
時計屋に頼めば直してもらえるだろうか。この大きさの時計には馴染みが薄く、要領がわからない。ひとまず、日本は雑巾を用意した。それでほこりをすべて落とすと、目立った傷もなく、きれいな状態であることに気づいた。しまってしまったのが、惜しくも感じた。今から玄関先においても、おかしくはないだろうか。

「あれは、もともとアメリカの、」
「えぇ、私が譲り受けたものですよ」
後日、イギリスがやって来て、部屋の片隅に置かれた古時計を見られてしまった。結局、あまり目立たなそうな場所に置くことにした。
「しかし、なんで止まったままなんだ」
イギリスの言う通り、古時計は二時十三分というおかしな時間を指したまま動かない。日本は修理に出さなかったのだ。役目を果たさない古時計を、日本はそっと撫でた。
「このままで十分ですよ、時計は他にもありますから」
「ただ置いてあるだけなのかよ」
「まぁまぁ、そう言わないでください。実用的ならば、必ずいいというわけではないでしょう」
長く放置していたお詫びです。




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こんなんじゃなかったのになぁ……
ぼつ




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