aph
美しいからこそ欲が這うのだろう

(2011/09/22)

英→仏



たとえば、こうしてフランスが街を出歩くときだ。おとなしくしていれば、たしかに美人であり、自然と目で追われることも多々ある。本性はもはやただの変態だけれど、普段の振る舞いは、やはりフランスだ。イギリスだって、負けているつもりはないが、今は忘れておく。
そういうわけで、イギリスは隣を歩くフランスに対し、細心の注意を払っていた。集まる視線に対し、フランスは丁寧にウィンクをして、キスを投げる。そういうキザな振る舞いが、イギリスは気に食わなかった。視線の主は、たしかに顔を染めていた。フランスが行動に移す前に、イギリスは足を踏んでやり、髪を引っ張り、肘を腹に打ち込んでみせる。さすがのフランスも防げない。痛みに堪えて、涼しい顔を装うとしていた。
「イギリス、お兄さんはマゾではないんだ、そう何回もやってると、本当に怒るからね」
「初めて知った」
「イギリス!」
ふざけるのもいい加減にしろ! とフランスが声を張り上げた。意味がわからない、と言うのだ。しかし、イギリスは意味もなくフランスにちょっかいを出しているわけではない。
ここでは目立ちすぎる。イギリスはフランスの腕を引いて、場所を移動した。人目がなくなったところで、イギリスはフランスを抱きすくめた。抱き締めているはずなのに、抱き締められているような気がする。それはおそらく、フランスも何となく察したからかもしれない。イギリスが荒れる理由を考えたのだろう。それでも、自分の行動に気づき反省することはないだろうが。
「おぅおぅ、今日の坊っちゃんは甘えたな気分か」
「ちげーよ」
「じゃあ、独占欲だ。いいよ、俺、イギリスのものになったげる」
「嘘つき野郎」
「ごめんな?」
フランスの声は色を含んでいて、イギリスはやりきれない気がした。めまいがする。いつの間にか、またフランスが優位にたっている。いらいらしても、ぶつけようがない。ぶつけても、ふにゃりと当たった感覚がしない。
「うざい、髭」
「お前もね、眉毛」
互いに悪態を言って、フランスはもう目を閉じた。




--------------

馬鹿

更新できそうだったけど、やっぱりぼつってみた



|

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -