無双
孔明の浪漫
(2010/04/19)
(無双.諸司馬.現代)
――俗にいう相合い傘ですよ。もちろん、くだらない、と切り捨てる人もいることでしょう。しかし、なかなか、ロマンのあるシチュエーションだと思うのです。どうでしょうか。
「ふ、ざ、け、る、な」
四月だというのにこの天候、この寒さ―――。とても春とは思えなくて、制服の下から、カーディガンが脱げない。
今日だって、この大雨である。連日の雨は、気力が欠けてくる。
そこで思い付いたのが、相合い傘だった。
言い出した諸葛亮はにこにこと穏やかだが、司馬懿は真逆だった。
さぁ、入ってください。諸葛亮が自分傘を司馬懿に傾けても、入ってくれる様子はなかった。全然、なかった。
「つれないですね」
「馬鹿め、普通の反応をしたまでだ」
当然といえば、当然の反応である。
諸葛亮を無視して、司馬懿は先に歩き出した。こちらとて、暇まではない。さっさと帰ってしまいたいのだ。放っておけば、相手も諦めるだろうと思った。
しかし、そんな司馬懿の考えは甘かった。
「司馬懿が入ってくれないのであれば、私が入りましょう」
しまった。計算外だった。
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相合い傘=らぶらぶ
雨しちゅ=まいらばー
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