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夢の世界

(2011/07/19)

仏英仏




「お前が静かなんてな、キモい」
面と向かって辛辣な言葉を吐くこいつの顔、今だけは見飽きたと思うよ。長すぎるほどの付き合いは腐れ縁というか、むしろ相棒のような感じ。イギリスめ、もっと気を使ってくれ。お兄さんだって元気をなくすことがあるんだい、ちくしょーめ。口に出せば痛いことになるので言わないけど。今だけは、やり返せる自信がないからね。
「フランス? おい、マジかよ」
「……うるさいねぇ、イギリスは」
悪態だけ吐いて、そっぽを向いた。黙って慰めるとか、そういうことはできないものかな。手先は器用なくせに、そういうところが不器用というか。まぁ、こいつはあまり細かいことより、もっと大胆なところが本性なのかな、やっぱり。さすがのお兄さんも負けちゃいそうな。
少しだけ視線を戻して、恨めしげにイギリスを見る。急に交わった視線に、イギリスが慌て出した。その反応は、逆に俺がどきりとしそうだ。
あぁ、もう、なんて、踵を返そうとしたイギリスの腕を、俺は咄嗟的に掴んでしまった。あ、と小さく声が聞こえた。
「なぁ、イギリス……」
「……なんだよ」
「お兄さんにさ、優しくしてくれない?」
もちろん、他意はないよ、そりゃそうだ。ただ、あまり一人になりたくない気分なんだよね。イギリスと、軽くお喋りなんてしてたら、そのうち口喧嘩になって、嫌なことも忘れてるんだろうな。
「っ、ばかぁ!」
全速力で逃げていくイギリスの背中を、俺は追えなかった。どっかの弟分並みにへたれちゃって、まぁ。
馬鹿って、叫びたいのは俺だっつの。




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兄ちゃん好きすぎるよ

ところで、イギギをいじめたくなる衝動を、ちょっとだけ理解した気がする



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