一次創作
また明日とは言わなかった日

(2010/04/16)




人気の少ない静かな公園、日が暮れる直前の空――
ブランコをゆらゆらとこぎながら、二人は物思いに更けていた。何も語らず、何も聞かず、互いに干渉をしないまま、時間だけが過ぎていった。
さようならを言って、きれいさっぱり気持ちを入れ換えられるほど、二人は大人ではなかった。まだ、子供、なのである。
(どうしよう)
お互い、何を言えばいいのかもわからないままだった。
そのうち、空が暗くなって、門限のため、どちらかが先に立ち上がった。もう一人も、次いで立ち上がる。二人並んで、交差点まで歩いた。やはり、無言であった。
分かれ道、これでさようならだというとき、二人はようやく口を開いた。


「もう、行くね」
「……うん」


言いたいことはやまほどあるのだけれど、それを口にすることはできなかった。
さよなら、も、また会おう、とも言わない。寂しい、とも、悲しい、とも言わない。
それでも、また会いたい、と思っていることに違いないのだ。






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タイトル;虫喰い




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