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あの子と夢の話 - 百年戦争と仏 -

(2011/07/03)

a.p.h. 仏ジャン



ジャンヌ、ジャンヌ、とフランスはすがるように彼女の名前を読んでいた。その姿を、王はいたたまれなさに包まれながら、じっと見守っていた。
祖国は思っていた以上に、少女に依存していたらしい。突然現れて、百年戦争を勝利へ導いた「奇跡の少女」。甲冑に身を包み、自ら戦場に立った少女。フランスは彼女の傍にいた。勇ましく見える彼女も、やはり普通の女の子であることを、フランスは知っている。血飛沫の舞う戦線で、恐ろしくなり震えていた彼女を、そっと励ました。あぁ、そうか、と王は思った。フランスは、あの子が愛しかったのだ、と。
少女がフランスのもとからいなくなってしまった。彼女をイングランドへ引き渡したのは、祖国の貴族だった。当たり前だ、彼女は所詮田舎の娘だ。おもしろくないだろう。イングランドでは魔女だと疑われ、異端審問の騒ぎとなり、牢に閉じ込められた。それを知ったフランスの慌てようは普通ではなかった。彼女の身に何が起こるかなど、予想するのは簡単なことなのだ。
ぼろぼろになった少女が火刑のために引き出された。そのときのフランスは、もう激しく気を取り乱した状態だった。お願いだ、止めてくれ。祖国の願いは聞き届けられなかった。もう見ないほうがいいのだ。温かな手がフランスの目を覆った。残酷な少女の罰は、フランスには耐えられないよ、きっと。
火が灯される。少女は祖国の名を呼んでいた。戻りたかったんだ、この人のもとへ。フランスは彼女を、やさしく、受け止めてくれるに違いない。

「これも、神のご指示なのでしょう? 私は、すべてを神に委ねます」
「ジャンヌ、君は、それでいいの?」
「……祖国、私は、帰りたい」
「うん、帰っておいで。いつでも、待っているから」





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原作離れてます。
勢いですよ、4巻のフランスが、お兄さんすぎて、ね。あぁ、惚れるわぁ



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