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キングメーカーと死神と小鳥

(2011/06/09)

光秀と濃姫




おや、あの後ろ姿を、私は知っています。帰蝶ですね。しゃがみこんで、何かを見ているようですが、ここからではよくわかりません。まぁ、木陰で涼んでいるというわけでもないのでしょうけれど。
「光秀、」
「ごきげんよう、帰蝶。何をしておいでで?」
「別に、なにをしているわけでもないのよ」
帰蝶は立ち上がると、すぐに踵を返し、部屋へと戻ってしまいました。あまりにも素っ気ない。あまりにつまらない。その背を追う暇もなかったのですから。
何となく、本当に何となくです。私は先ほどまで帰蝶のいた足元に視線を落としてみました。帰蝶の視界に写っていたのは、どうやらこれのようです。
つばさに傷を負った小鳥が一匹、必死になってもがいていました。しかし、無理なものは無理ですから、しまいにはおとなしくなりました。死んだのかと思いましたけれど、ただ動けないだけのようです。近くに仲間らしい鳥の影は見えません。むごいですね、飛べない小鳥はどうやらひとりぼっちのようだ。むごいですね、死なず、動けず、鳥が地べたに横たわっているのですから。
帰蝶はこんなものをずっと見ていたというのでしょうか、何を考えていたのでしょうか。私にはわからないのでしょうね。

籠のなかで餌をつつく小鳥を、帰蝶は穏やかな顔で見ていました。おやおや、それが魔王の妻の本当の顔なのですか、帰蝶。おかしくて、おかしくて……、ついつい私まで笑ってしまうところでした。




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途中放棄。光秀好きですよ、私。




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