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処女作集:世界はなかなか終わってくれない

(2011/05/29)

伊真


中途半端に困った体になってしまった。毒が回ったのか、体は痺れて動かない。その間、腹の傷口から血が流れていく。ここが己の死に場所になるのだ。しかし、それに至るまでの時間が長い。なぜこんなことになってしまったのか。実にアンラッキーなpartyだった。伊達政宗はほくそ笑んだ。周りは草むら、岩影で湿った地面。小十郎はおろそか、伊達軍一人いない。こんな場所で天へ昇るのかと思うと、なんだかわびしい。
最期くらい許されるだろう。政宗は最愛の人を思い浮かべた。ただ一人のライバルで、不覚にも想い合ってしまった、あの紅い男。
「真田幸村、」
どうせ死ぬならば、幸村と一騎討ちでが良い。これははたして我儘なのだろうか。それでもいい。やつの十文字の二槍に貫かれて、敗けを認めて、最後の抱擁を交わそう。その胸の中で逝けたら本望だ。その逆も然り。
政宗の天上は、苛立つほどに青かった。蒼竜が昇るには、少々眩しすぎやしないか。そんなことを考えていると、死を意識してしまった。死んでしまったら、俺はどうなってしまうのだ。もう、幸村とは会えない。寂しいではないか。またあの熱を肌に感じたい。あの途方もなくまっすぐな笑みを見ていたい。
「やっぱり、死にたくないよな……」
こんなにも切なくなるのなら、首を持っていってくれれば良かったのに!



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クロエ




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