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処女作集:Are you ready?

(2011/05/29)

伊真



すぐ傍に幸村の背中がある。そして俺はこう思った。
後ろから抱き着いてみたり、してもいいか?
いつも破廉恥云々だって騒ぐ幸村だ。前からの反応は知ってる。たまには後ろからはどうだ。有言実行。ちょっとした加虐心に煽られたみてーだ。いけ、独眼竜。今ならあの猿もいねぇ。つまりこれはchanceだ。
「ま、政宗殿!?」
さらに密着。幸村は顔を俺に向けねぇ。それでも真っ赤なのは分かるぜ。心拍数、体温、ともに上昇中。嬉しいねぇ。俺に感じてくれてるわけだよな。調子乗って、前に回した手を動かす。
「は、破廉恥でござる!」
自分でも驚くほど自然に口端がつり上がった気がした。唐突に腕をほどき、幸村の後ろに背を向けて座ってやった。こいつの熱を感じられねーのは残念だが、ここは我慢だ。何事もなかったように、そっぽを向く俺に対して、幸村はどういう顔をしてる?
「政宗殿?」
どうだよ、真田幸村。急な熱の喪失は、どんな気分だ。
おそるおそる、って表現がこれほど似合うものはねぇ。そう言っちまうくらい、かすかに震えた手が俺の肩に触れた。俺は笑った。何がおかしいかは言葉で言い表せない。No、おかしいんじゃねーな。
「なぜ、笑われるっ!」
「おっと、悪いな」
頬が緩むくらい、良いわけだ。そうだな、これで勘弁しろよ、幸村。不意打ちで肩の手を引っ張れば、幸村はいとも簡単に俺の胸に落ちた。逃がさないようにきつく抱き締めて、ここにあるたしかな熱を、俺は堪能することにした。左腕は腰に回し、右腕で頭を固定する。
「は、放してくだされ、政宗殿」
「嫌なこった。放さねぇよ、絶対にな」
素直に喜んどけよ。俺は最高にハッピーだ。
「なぁ、幸村」
「いかがなされたか」
「ちぃと散歩にでもいかねぇか?」
甘味でも食べさせてやっからよ。




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一番最初の伊真
夢サイト時代にブログに載せたのが最初




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