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交わされた残像

(2011/05/03)

ヘタリア 仏英とあの娘




華やかというよりはのどかな、そんな庭の景色を眺めていた。まだ昼間だ。陽も高く、青い空がある。今日も平和なのかな、などと落ち着いた様子で、フランスは突っ立っていた。すぐ後ろでは、イギリスが紅茶を供に新聞を読んでいた。
会話はない。とくに用があったわけでもない。それなのにイギリスがここにいる。理由は知れない。
「あ……」
「フランス?」
どうした、と声をかけるよりも早く、フランスは走り去っていく。いったいどうしたというのか。

フランスの脳裏に浮かんだのは、忘れることもできなそうな、あの娘の姿だった。こちらに向かって微笑んだ。
笑えない、とても笑えない。足元がおぼつかない。頭を押さえて、その場に倒れこんだ。シャツが汚れるのも気にしていられない。
何の冗談だというのだ。
「あー、今日、調子悪いかも」
「ほう。それはいいことを聞いたな」
「……坊っちゃん、性格悪いよ」
なんとなくでも足を運んで正解だった。イギリスはいたずらな顔で笑う。それはその場にかすかに残されたあの慈しむような微笑みとは違う。
フランスは目が眩んだ。よかった、と思う。
青い空の下で、フランスの知らない何かが笑っていた。




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空想アリア

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