無双
天地の悠悠たるを念ひて独り愴然として涕下る
(2011/04/29)
趙雲が死にかけて?います
天下はずっと広い、思っているよりも、ずっと。
それは昔日、趙雲は愛馬に跨がり、諸方を旅していた。そのなかで数えきれない人と出会った。狭い故郷を飛び出し、戦乱の世へと踏み込んだ。そうして出会った彼の大器、劉備。再会を夢見て、旅を続けたのだった。
劉備の旗下で、戦で一群を率い、国を築いた。それが、いつかの遠い記憶のようにも思えた。ともに戦場を駆けた将軍も、わが君も、今はもう世にいない。次は自分の番か、と寝台の上で、趙雲は笑っていた。
またあの日のように、広い大地を駆け回ることはできない。今、自分の視界に写るこのせかいが、趙雲の最期だった。
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タイトルは陳子昂の漢詩「登幽州台歌」より。
時代も内容も、あまり関係ないです。
最初は、馬趙要素を詰めようかと思ったのですがね。
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