無双
抱いたのは幻想でもなんでもなく

(2011/04/10)

現代、馬超と馬岱





今日はいつもより遅い起床だった。今朝、馬岱が起きたとき、キッチンからは朝食のにおいがした。そうだ、今日の家事は馬超の担当だ。慌てることもなく、ゆっくりと寝巻きを着替えて、馬岱は部屋を出た。
きっちりエプロン装備で調理する馬岱と違って、馬超はだいぶ大雑把だった。それでもキッチンに立つ姿は様になっていて、料理もなかなかの腕で、なんだかずるいと思う。笑えない。
「若ぁ、お腹が空いたよぅ」
「急かすな」
馬超も寝不足のようで、しきりに欠伸を繰り返している。夜更かしは体に良くないよ。そう言いたげな視線を送るだけで、馬岱は卓上の新聞に手を伸ばした。今日は特番の日だ、録画を忘れないようにしよう。ひたすら番組表を眺める。
「ほら、食え」
「ありがとう。あと、新聞」
「結局、番組表以外見ないのだな」
「だって、ね、興味ないし」
バラエティー番組の意義も見いだせない企画に爆笑し、笑い疲れて眠るのもそれはそれでありだと思う。馬超には到底わからないだろうけれど、馬岱はいつもの調子で番組の解説を始めた。聞き流されているだろうけれど、それを承知の上なので気にしない。
「あぁ、そうだ。今日は遅くなる」
入れたての熱いコーヒーを飲み干して、思い出したように馬超が口を開いた。こういうとき、彼が何を言うのか、馬岱は知っていた。
「でも俺、今夜はいないからさ、仕事で」
「そうか……。お前は、忙しいのだな」
「若もわかってくれた?」
馬超は苦い顔をしていた。それに気づかないフリをして、馬岱は朝食を詰め込む。何やら味気ないのは気のせいか。甘いオレンジジュースで気分を紛らわして、立ち上がる。窓から差し込める明るい日差しが意地悪い。手で遮断しながら、鞄を取りに部屋へ戻った。
今日も一日頑張っちゃおうか。馬超よりも一足早く玄関を開ける。パタンと閉まる音、そして馬岱は落ち着いて息を吸った。

「こんにちわー、趙雲殿」





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マリーゴールドを抱く少女

ま、まとまらねぇ……!
ちなみに馬趙落ちです、ほあた!




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