一次創作
高嶺の花

(2011/02/14)

甄氏が好きな曹植と曹丕





その人は兄の夫人である。甄家の末の姫で、その美貌はまさに玉のごとし。先の戦では敵方の夫人だった。それを、兄に見初められ、今ここにいる。美しさは、ときに罪であると思う。同時に、胸の内に隠す人の気持ちもまた、十分な罪だと思う。
世の常と諦める心を嘆いては、それを詩にした。
「俺は、兄上様が羨ましいね」
「……そうか、悪いな」
兄はわかっていて、わざとあっけらかんと返すのだ。
曹植は甄氏に憧れている。それは静かに、けれど熱い感情だ。伝えたい、たしかな詩が陳腐な文字の繰り返しになってでも。
それでも、彼の人は敬愛する兄の奥方だ。高貴なお方を奪うことはできない、したくない。
矛盾してしまう、それほど焦がれてやまない想いは、どうしたら尽きてくれるだろう。
まるで黄河の流れのようではないか。流れても流れても、とどまることを知らず、果ては大きな海へと続くのだ。




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色々30題其の17
楽譜。

曹植っていい味出してるよな




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