一次創作
雪の季節にさよならを

(2011/01/06)



二人がせっせと作った雪だるまは、はじめのイメージよりもずっと不格好で、そこらへんに落ちていた木の枝を刺した時点で、二人して大笑いしてしまった。
「やぁ、おはよう、スノーマン」
おどけたように言う想華の鼻は赤い。
「スノーマン、残念だが会って早々お別れの時間だ」
明子は空を指差した。太陽が見えていた。ただいま時刻は十時を過ぎたところだった。
「いやいや、まだ大丈夫だよ、寒いし」
「それでも明日にはメルティング」
「…………デジカメ!」
「いえっさー」
明子は雪の上を器用に走りながら、家の中に駆け込んでいった。

雪が降ったら、何をしたい? それはもう、雪だるま作りだよ!
そんな単純な考えから始まった朝の雪遊び。デジタルカメラのシャッターの音が聞こえた。
「さて、ホットミルクでも作るか」
真っ赤な手を温めよう。
太陽が上った空の下で、雪だるまは静かに溶け始めていた。



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妄葬




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