無双
愛しい天使の花葬

(2010/12/11)


二喬 周瑜の死後設定

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「座って死にたくなかったんだって」
「そんなの、あたしには関係ないのにな」

数人の護衛を連れて、妹がやって来た。大喬はそれを歓迎した。落ち着いた様子で、侍女に任せず、自分でもてなした。彼女らしかった。
大喬が穏やかに話しているのを、小喬は下を向いて浮かない顔で聞いていた。
「らしくないわよ、小喬」
「……お姉ちゃん、」
「あの方は、小喬にそんな顔をさせたかったわけではないのでしょう」
小喬だって、そんなことはわかっている。けれど、今を無邪気にはしゃげるほど、おとなじゃない。それを知っていて、大喬は静かに妹の手を握った。
「無理に笑う必要はないと思う。それでも、下を向いては駄目。顔を上げて歩くの」
おそるおそる顔を上げる。あ、と声を出しそうだった。小喬が見た姉の顔は、憂いを帯びていた。かなしそうな、やさしそうな、微笑だった。泣きたくなった。けれど涙は流れなかった。頬をぱちぱちと叩いて、できるかぎりの笑みを作ろうとした。だいぶゆがんでしまったかもしれない。
どこからか笛の音が聞こえてきた。どこか調のおかしな、けれど一生懸命な旋律だった。窓際に置かれた花瓶の花が、そわそわと揺れた。小喬は姉を見ていられなかった。今は無性に、あの方が恋しくなった。




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水葬

これは無双、ちゃう




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