無双
好き嫌い

(2010/04/01)

(さんむそ.諸司馬.現代)





二人でカフェに入ると、人を避けるように、片隅の丸テーブルに着いた。適当にダージリンとスコーンを頼んで、何気ない会話を交えながら一休みと決め込んだ。
そこで、諸葛亮はあることを思い出した。思い出して、無表情の司馬懿に尋ねてみることにした。小声である。


「私は、貴方が、嫌いです」


カップを口に運ぶ手が、止まった。わずかだが、司馬懿も驚いたようだ。だが、それ以上の変化はない。


「そうか、わかっていたぞ」
「……司馬懿?」
「私も、貴様が嫌いだ、諸葛亮」
「…………」


無表情で、淡々と告げられた。しかし、諸葛亮には、違うように見えた。先に、クスクス、と笑った。つられて、司馬懿も笑った。


「嬉しいですね」
「……ふん」
「互いに、嘘は一度きり、ですよ」


さすがに何度も嘘を重ねるのはルール違反でしょう、と諸葛亮が言う。ややこしくなるのは、避けたいということだった。素直に、まっすぐな展開で、いいじゃないか。
ジャムを添えたスコーンを、ひときわ甘く感じた。

授業が始まるより前、四月一日のことだった。





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エイプリルフールな諸司馬。うわー、似合わねぇ。



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