一次創作
マエストロとジュリエッタ「不滅の恋人」

(2010/11/24)


今日もマエストロがレッスンをしてくれる。ジュリエッタはしなやかな細い指を、鍵盤の上で動かした。
「そうだ、貴女にはセンスがある」
「ありがたとうございます」
音楽という絆をきっかけにか、二人は、師弟以上の想いを抱いていた。年の差も大きい。しかし、問題は、身分の差のほうであった。マエストロは実力の認められた音楽家だ。しかし家柄はそれほどではない。対してジュリエッタと言えば、伯爵家の御令嬢、立派な淑女だ。
「今日は、私から貴女に、ささやかなプレゼントをさしあげたい」
マエストロらしい、ピアノの楽譜であった。ピアノソナタ。幻想風に、それは二人の恋の夢を現れか。
二人が結ばれることはなかったが、ジュリエッタは彼の不滅の恋人だった、と誰かが言った。

「あの美しい月の光のように、静かでたおやかな想いは、やがて激しく抑えきれなくなったのだよ」
想いを音に託して、心を静めておくれ。




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書きたいことを書けない……

幻想風ソナタ/L.v.ベートーヴェン



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