失神症候群
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哲良で『不器用な世界』
「ダメだよ袖で拭いちゃ」
垂れかけた鼻水を掬ったのは水玉模様の清潔なハンカチだった。
「風邪ならティッシュぐらい貸すのに」
「うっせぇ放っとけ」
困ったような笑顔に目を背けると不満げな声が届く。
何で素直になれないかなぁ?知るかよ俺が聞きたい。その優しさは嫌いじゃないのに、逃げてばかりだ。
***
良樹は哲志といる間に、戸惑いながらも人の温もりに慣れていけばいいよ。
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