雪に溜息
ふわりふわりと、雪が舞っていた。足元に積もったそれは、電灯の、乾いたような光を反射させている。だから辺りは夜中と思えないほどに明るい。けれど、このどこまでも白い雪の元である大きな雲は、どんよりと灰の混じった色だ。
指先はかじかんで上手く動かない。でも、別に、それで構わなかった。ただ、足だけを動かせれば良かったし、足も動かなくなったなら、立ち止まってしまっても構わなかった。
「はぁ」
吐き出された息も、なんだかあの雲みたいに、灰色が渦巻いているように錯覚した。きっと、気分の問題なんだろう。
歩いている感覚が薄れる。ずっと足を動かしている筈なのに、何もしていないような気分になる。一面が真っ白で、暗い色で、でも灰掛かっていて、何を見ているのかも判らなくなってくる。
小さくかぶりを振った。嗚呼、混乱している。きっと。この白に、惑わされているだけだ。
吐いた色も、また景色に溶けた。






bkm
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テーマ「人外ファンタジー」
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