こんにちは、みょうじなまえと申します。さてさて、今日も私の日課である岩泉観察を始めるとしましょう。ノートおっけー、ペンおっけー、ちなみに3色ボールペン。カメラ…の代用スマホおっけー。

「うっすー!」
「おー岩泉、おはよー」
「おー」

朝一、岩泉君は教室には向かわず直行で体育館へ。朝も制服じゃなくてジャージなんだよね。しかも家から走って学校まで来る。朝の通学も無駄にしない精神、流石岩泉君。追いかけるのが大変です。走ってたら写真撮れないし。今度から自転車にスマホ固定して岩泉観察しようかな、と計画中。私の体力がそろそろ限界。




「岩泉ィ!」
「おう!」

朝練。調子の良い時はチームを半分に分けてミニゲームをするようです。放課後はよくあるけど、朝からミニゲームをするのは珍しい。そう、珍しい。写真撮らねば。朝の陽ざしに照らされて輝く岩泉君とか超レアだよ。自然光だよ自然光。お天道様ありがとうございます。汗がめっちゃ輝いてる。くっそ、なんで私一眼持ってないんだ。スマホのカメラ機能では限界があるぞ。ほんと悔しい。ちくしょう。
8時に近づくにつれてギャラリーが増えてきます。\キャーオイカワサーン/な人たちです。ぬぐぅ、黄色い声が五月蠅いです。もっと静かに観戦しましょう。ただ、ものは考えようといいますか、これだけ五月蠅いとシャッター音が響かないので取り放題です。でも、黄色い声援で岩泉君の眉間に皺が寄るのでやっぱり嫌です。滅びよ及川徹。


「!?」
「どうした、及川」
「なんか、寒気が」



滅びよ及川徹。
おっと及川徹なんてどうでもよかった。朝連が終わり、及川徹が女子に囲まれる横を岩泉君は華麗にスルーからの通過。流石に着替えは盗撮げふんげふん、写真に収められないので涙を飲んで耐える。岩泉君腹筋ヤバイですね。ぺたぺた触ってみたいものですあコラ松川邪魔だ岩泉君が見えないでしょ。及川もinしてこなくていいです邪魔だこの野郎。

「!!?」
「どうしたのまっつん」
「寒気が」
「あれ、まっつんも?俺も現在進行形」
「おい大会前で風邪ひくんじゃねーぞ」



ててて、と岩泉君の後ろ50メートルほど後ろからついて行きます。気だるそうにしてる岩泉君たまらん。段々とバレー部員が自分の教室へと入り、最後は岩泉君と及川になった。及川邪魔。あ、でも馬鹿話してるらしい笑う岩泉君の笑顔にノックアウトされたのでやっぱり許そう及川徹。でもやっぱり邪魔。
やはり阿吽の呼吸と言われるだけあって、なんだかんだで仲の良い2人はチャイムが鳴るまで5組と6組の間の廊下でお喋り。くっそう、こんなに開けた場所だと盗み聴きが出来ない。


「…お前3組の教室で何やってんの?」
「うっさい花巻うっさい」

ちなみに3組の教室のドアに張り付いて様子を窺っている。4組に入れたらベストだったんだけどタイミングが合わなかった。咄嗟に入った3組、ちょっと遠いちくしょうめ。

「なぁなぁ」
「五月蠅いな黙れ花巻」
「自分の動きを確認するために撮った部活練習風景録画したDVDがあるんだけどさ」
「シュークリーム。生クリーム、バニラクリーム、カスタード、チョコ」
「売った」
「買った」

バシンッとハイタッチをかます。花巻たまに五月蠅いけど、こういうところ嫌いじゃないよ。さて、材料あったかなと頭の隅でキッチンの棚を思い浮かべる。


「お前さぁ」
「なに?」
「お菓子作り上手いんだから岩泉にも作ってやれば」
「私のお菓子毒味して花巻が死ぬのはいいんだけど、岩泉君が死んじゃったらやだから」
「いや毒味って、つーか殺すな」
「お世辞でも美味しいって言ってくれる花巻は嫌いじゃないよ。ただ私の邪魔をするのならば潰す」
「こえーよ」

お前なぁ、と頭を撫でる花巻の手を叩き落とす。ぐるるる!私は犬猫じゃないぞ。睨みつけると「よしよし」と頭をまた撫でられる。シュークリームにワサビクリーム入れてやる!と思ったところでチャイムが鳴った。廊下をバッと見るともう岩泉君は居なかった。慌てて3組の教室を出て自分の教室に戻る。



「おはようなまえ、いつもながらギリギリだな」
「お、おはよう岩泉君!寝坊しちゃってさ…ふへへ」

私は毎朝5時起きですが。へへへへ!と笑いながら岩泉君の隣の席に座る。うん、これは予想外だったんだ。まさか隣の席になるとは思わなかったんだ。出来れば後方、一番後ろの席を希望だったんだけど。心臓が持たないよこれ。

「朝練なきゃあ、おまえんちまで行って起こしに行くんだけどな」

腕を机に付いてニッと笑う岩泉君。モーニングコール岩泉君とか永眠するのでやめてください。「ははは!岩泉君に迷惑掛かっちゃうからいいよ!」と内心冷や汗をかきながら笑う。

「迷惑じゃねーよ」

くっそう、胸きゅん。





▽△▽


「勇くん…!」
「うわっ!?」

昼休み、前方を歩く勇くんにダイブする。「あ、みょうじさんこんにちは」と国ちゃんが挨拶するので「こんにちはー!」と国ちゃんの頭を撫でた。私、3年バレー部勢は目の敵にしてるけど、1年勢は好きよ。だって邪魔しないもの。

「勇くん、今日も岩泉君はカッコいいよ…ほんとに」
「ちょ、抱きつくのやめてください!もし岩泉さんにでも見られたら」
「あ、みょうじさん。さっき及川さんのファンから岩泉さんツーショットの写真頂いた(取り上げた)んですけど要ります?」
「国ちゃんだいすき。塩キャラメル味のお菓子作ってあげよう」
「ありがとうございます。俺もみょうじさん(の作るお菓子)好きですよ」

甘味とは偉大らしい。花巻と国ちゃんが釣れる。あ、そういえばなんか勇くん何か言いかけてたけどなんだろう?と目線を送ると「いや、もう何でもないです…」と返された。何でもないんならいいや。
「ぬっふっふー!」と国ちゃんから写真を受け取る。及川のところハサミで切り落とそ。

「あ、及川さんのところ既にハサミで切り落として捨ててあるんでそのままで大丈夫ですよ」
「ほんと国ちゃんだいすき」
「マフィン食べたいです」
「キャラメルクッキーとキャラメルマフィン。あ、花巻にシュークリーム作るから、キャラメルクリームも作ろう」
「お菓子作るスキルすごいですよね。岩泉さんにも作ればいいと思います」

花巻にも言われたけど、私なんかが作ったお菓子を岩泉君に食べさせるなんて恐ろしい。「いや店に出せるレベルですけど」なんて国ちゃんは言うけど、うん。無理。






「岩泉さん、みょうじさんが作ったお菓子食べたいって言ってたけどな…」

何故か遠い目をする勇くんに首を傾げる。


「あ、及川さん」
「いや及川はどうでも」
「と岩泉さん」
「んぇ!?」

バッと後ろを振り向くと「よ、なまえ」と「やっほーなまえちゃん」と声が重なる。今の声録音したかった。あとでちゃんと及川の声編集で消してとっときたかった。

「金田一と国見も」
「…えーっと、俺ら」
「用事思い出したんで教室戻りまーす」
「えっ!勇くん国ちゃん!?」
「先輩方さようなら」

何故かダッシュで逃げる勇くんと国ちゃんの背中を呆然と見送る。ちょっと、岩泉君と二人っきりにしないでよ…!

「なまえちゃんなまえちゃん」
「あ、及川君居たの」
「!?居たよ!」

2人っきりじゃなかった、え?いつから及川居たの?気付かなかった。まぁ及川は居ても居なくてもどっちでもいいけど。

「もー!俺岩ちゃんと一緒に声掛けたじゃん!ね、岩ちゃん」
「お前居たか?」
「なんなのこの人たち!」

ぷんぷん!及川さんおこなんだからね!と及川は歩いて行ってしまった。いや、まって及川、謝るから!謝るから帰ってきて!!必然的に2人きりになる。いや、待って。望んでない望んでない。


「なぁ」
「ななななに!?」
「金田一と国見と仲良いよな」
「…うん?まぁ可愛い1年後輩くんだよね」
「可愛いかどうかはわかんねーけど」
「…?」
「……」

無言、と渋い表情の岩泉君。何この空気。だらだらと冷や汗がでる。

「よくさ」
「…はい」
「花巻と国見にお菓子作ってやるよな」
「それは取ひ…こほん。二人とも甘いモノ好きだからね」
「………」


頼む、誰でも良いから助けてくれ。「あははは、岩泉君にも作ってあげようか?なーんちゃって!にゃはははははは…は」なんて冗談で言ってみると

「おう、なまえの作ったもん食いてぇ」

しぬ。私死ぬ。ドドドドドと心臓が鳴る。痛い痛い痛い!心臓めちゃくちゃ痛い!

「あああああ!い、岩泉君」
「ん?」
「(ひえぇえええええ!)」
「…おーい?なまえー?」

「こ、今度作ってくるね!!!ば、ばいばい!!」


耐えられず脱兎のごとく逃げた。



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リクエストいただいた
ノコさまの、男前岩ちゃんレポート
あきさまの、THE☆青春!
を組み合わせたのですが、男前ってなんぞ(^p^)?青春って何ぞ(^p^)ってなりました(レポートになってないですし…)。実は両想いな2人のじれったいアレです。意味がわかりません。すいません、私の妄想スキルが死んでるので意味がわからない文章になりましたすいません。リクエストありがとうございました!岩ちゃんは存在が男前なんですよ!!