お母さんに買い物を頼まれたので坂ノ下商店に足を運ぶと、黒いジャージ軍団。あ、烏野高校バレー部軍団だ。スガがいる。あと澤村君も。東峰君は居ないようだ。その3人以外とは面識ないし、ここはスルーかな、なんて思っていたらスガに「あ、蒼!」と声を掛けられた。すると、視線が私に集まる。スルーできない状況になった。「スガ今朝ぶりー」とハイタッチをする。大変ノリがよろしいようで。

「澤村君も久しぶりー。だいぶ会ってなかったよね」
「一方的には目撃はしたけどな。青城で」

ああうん、あれね。すごい目立ったよね。と思い出して苦笑した。及川本当に許さない。そういえばさ、スガと目が会ったんだけど最後手振ったの分かった?気付いた気付いた!という会話をする。若干、3名の視線が痛い。

「スガさん澤村さん、青城のせせせせ生徒会長とお知合いなんスか!?」
「俺と蒼が幼馴染でご近所さん」
「俺はスガ経由で間宮と知り合ったよな」
「そうそう」



「――あのっ!俺、烏野高校2年バレー部、田中龍之介ッス!」
「烏野高校1年日向翔陽です!」
「影山飛雄ッス!」

「3人合わせて3バカトリオだ」
「実はもう1人バカがいるんだべ」
「澤村さんスガさん!?」

とても楽しそうな子たちで。影山君は名前だけ知ってる。中学で国見と同じ学校だった、コート上の王様?だっけ。あと及川が五月蠅かった。この子が影山君か…視線が痛いです。めちゃくちゃ影山君に睨まれてるんですけど、何かした?スガもその様子に気づいたらしく「影山?」と問いかける。しかし依然としてこちらを睨んだまま。「えっと、なにか?」というと「あの…」と真剣そうな面持で口を開く。

「及川さんを負かすにはどうしたらいっスか」
「お前馬鹿だろ」

いやだって、あんときめちゃくちゃ及川さん沈んでたし涙目だったし。中学ん時色々されたんでやり返したいんスよ。いや、そこはバレーで完膚なきまでに負かしてやれよ。それは当然やりますけど。そんな会話が続く。なんだろうか、すごく面白いぞこの人たち。

「騒がしくてごめんな」

と、スガが楽しそうに笑う。ゴラァ!バレー部静かにしろォ!!!と烏養さんの怒鳴り声。相変わらずエプロンが似合わない人だ。

「楽しそうだね」
「楽しいよ、すごく。蒼も烏野だったらよかったのに」
「ははは。それはそれで楽しそうだけど、青城も――すごく楽しいんだよ」

少し、目を見開いてスガは笑った。随分と、優しい目をするなぁと。仲良くやれよ!と頭をくしゃくしゃに撫でられ、太陽みたいに笑った。

「ところで、彼氏は及川じゃないよな?」
「はい?」

いやぁ、すごく大切にされてるようだけど及川だとなんか大切な幼馴染任せるのちょっとやだ。という言葉に俺も俺も。と澤村君が同意する。烏野の及川の好感度の低さが…って青城とそんな大差ないか。ところで言ってもいないのに、なんで彼氏がいることを知ってるんだろうか。「だって蒼わかりやすいし」なんて言われて首を傾げた。

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