「さて、第2回国見ちゃん暴露大会ー!」
「何やってんですか及川さん」

部活が終わり、部室で着替えていると及川さんに捕まった。この人も本当飽きないな。なんて溜息を吐く。「第1回は不発に終わっちゃったけど。蒼ちゃんはもう帰ってるのは知ってるんだからね!蒼ちゃんと一緒に帰るなんて嘘は吐けないよ!」…なんなんだこの人暇人か。

「ていうか、及川先輩なんで間宮先輩のこと名前で呼んでるんですかぁ?なーまーいーきぃー」
「なんで然も自然に副会長ちゃんが居るの」
「副会長様ですから」

いや、着替えてる男子の部室に普通に溶け込むなよ。この副会長本当に意味がわからない。俺の味方ではあるらしいんだけど。

「国見君って中学時代から高校生の間宮先輩が好きで好きで仕方なかったんですよねぇ。間宮先輩の登校姿毎日見て…でも話しかける事も出来ずにただ一途に見つめるだけの中学生国見君…やばい、中学生ピュア過ぎて私萌える、萌え死にするっ!」

…前言撤回。味方ではないようだ。というかなんでそんな情報知ってるんだこの人。誰にもこの話したこと無いんだけど俺。「国見ちゃんなにそれピュア過ぎてヤバイ」とか言ってる及川さんを早く誰か殴ってくださいお願いします。とか願ってたら岩泉さんが「お前いい加減にしろ」と拳骨を食らわせていた。ありがとうございます岩泉さん。

「というか水石、出てけ」

そういうと岩泉さんは副会長の首根っこを掴んでぽいっと部室から摘み出した。ガチャッと鍵を掛ける岩泉さん。「うぉーあけろーあけろー」とドンドン部室のドアを叩く副会長。

「国見、クソ川も水石も無視しろ。ああいう類の人間は無視に限る。付き合ってたらこっちが疲れる」
「ちょっと岩ちゃんなに教えてるの!」
「了解しました」
「国見ちゃん了解しないで!」

本当に疲れる。一人居なくなったところで、然程変わらないらしいこの現状。俺は溜息を吐いた。


「で、さぁ?実際のところどうなの国見ちゃん。蒼ちゃんと付き合わないの?」
「…はぁ…」

部室に居る部員全員の視線が俺に集まる。めんどくさい、本当にめんどくさい。とある人間はきょとんとしている。金田一だ。

「…え、国見と生徒会長ってもう付き合ってるんじゃ…」

シーン、と部室が静まり返った。えっ、と金田一が声を漏らす。俺は溜息を吐くばかり。面倒だ、本当に面倒だ。

「俺が、彼女でもない女子とあんな毎朝一緒に登校すると思いますか」

一駅と、学校までの距離だけだけど。「…そりゃあそうだよなぁ。及川と違って気のない女子と一緒に居るとか、国見絶対なさそうだもんなー」と花巻さんがぼやいた。その言葉に、全員が納得する。…が、食いつく及川さん。

「そ、そうだけど!でも国見ちゃんと蒼ちゃんが付き合ってるなんて一度も聞いたこと無いよ!?」
「言う必要無いじゃないですか」
「なんで!?」
「それこそなんでですか」

なー、もう終わりにしようぜ及川。普通に考えてみたらさ、どう考えても国見と間宮付き合ってたよ。と松川さん。おいもう部室締めるぞーとドアを開く岩泉さん。この話題はこれで終わりそうだ。

「先輩と国見君の慣れ染って気になりますよねぇー」

部室の前、笑顔で腕を組んで仁王立ちしていた水石副会長を目の前に、俺は絶望を確信した。

<< | >>