もう叫び声を上げたいくらいです。電車、隣には夜久君。近い、近すぎる。正直心臓が痛いです。「なんか無理に、ごめんな」という夜久君に「ひ、いいえ!らいじょうぶれふ!」と最早言葉ではない羅列が口から出てきた。いや、落ちつけ私。相手はただのクラスメイト、落ち着け落ち着くんだ私…!

「なぁ葛城」
「ふっはい!」
「…えっと、俺の事嫌い?」
「、!?めめめめっそうもございません!ちょっとばかし苦手ではございますが!」
「あ、やっぱり苦手なんだ」
「うああああ夜久君が苦手なのではなくバレー部という人種が!」
「バレー部という人種…って」
「…ちょっと、友達の後輩のバレー部員に、いじめを受けまして…」
「え」
「ちーび!って言われて頭押さえられたてもっとちーさくなーれ!とか言われたり、ちっさいと可哀想だねぇほら肩車してあげますよ先輩。とか本当に肩車されて天井に頭ぶつけたり、背伸びしてもこんなもんも取れないんですかせんぱーい!って…」

上げればキリがないくらいの嫌がらせの数々。別に中学が一緒だったわけでもない、ただもにーとかまちの後輩と言うだけの人物がなんでこうも私の記憶の中にあふれているのでしょうか…!げせぬ。

「…男子?」
「女の子がそんなことするわけないじゃないですか!」
「まぁ…そうだよな」
「ごめんなさい。バレー部じゃなくてその人単体で苦手なのに…」
「俺さ、そんなことしないよ」
「わ、分かってますよ…!身長的にっ痛!」
「身長、禁句、な?」
「…はい…」

まさか脳天チョップを食らうとは思いもしませんでした。しかも笑顔が怖いです夜久君。夜久君、身長、禁句、つぐみさん憶えましたハイ。

「で、さ。俺は葛城と、仲良くなりたいわけだ」
「……ふぁい…」
「今のチョップは悪かった。でも、俺とそのいじめっ子、バレーをやってるところ以外は違うから」
「…そう、ですね」
「だから…その……友達になってください」
「………ど、どうぞ」

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