茂庭は葛城を送ると言い別れた。夕暮れ、なぜか隣には二口。コンビニの袋をぐるぐると振り回す。おい俺に当てるの止めろ。なにやらいじけた様に口をとがらせる。なんだよコイツ。生意気後輩意味がわからない。


「へー…葛城先輩彼氏出来たんだーへぇー」
「お前もう葛城にちょっかい出すのやめろよ」
「えーつまんねー」

いやつまんねーじゃねーよ。と俺は二口の背中をぶっ叩いた。
中学の頃から仲の良い葛城に彼氏が出来たようだ。東京の、俺らと同じバレー部らしい。…なにやら娘が嫁に行ったような感覚だ。娘いねーけど。しかしコイツの葛城いじりには目が余る。二口はただ葛城で遊んでいるんだろうけど(それもどうかと思う)葛城は本気で嫌がっているし。
葛城をあやす俺と茂庭の苦労を分かってくれ。お前の為に色々フォローしてやってるんだからな。

「滅多に会えないんスからちょっとくらい遊んだっていいじゃないっすか」
「お前のアレはちょっとじゃねーよ」
「つーか葛城先輩に彼氏とか…想像つかねー…鎌先さんからしてどうなんですか?大切な友達に彼氏」
「あー?別に、あいつが良いって思えたんならそれでいい」
「俺、葛城先輩は鎌先さんか茂庭さんと付き合ってるんだと思ってましたけど」
「ねーだろ。俺と茂庭からしてあいつは…なんつーか…妹?」
「俺も含め葛城先輩を同級生やら年上とみていないっすね」
「お前に関しては先輩全員に生意気だしな」

お前はもっと年上敬えこの野郎。「えー?俺結構敬意払ってるじゃないっスかー!」よしコイツ殴ろう。

「つーか俺、葛城先輩に彼氏出来なかったら貰おうと思ってたんですけどね」
「…………はっ!?はぁ!?お前今なんつった!?」
「俺が貰おうと思ってました」

もぐもぐとグミを頬張る二口。…は、思考が追いつかない。

「は、なに。お前葛城の事好きだったのか…?」
「いやぁー好きとかそういうんじゃないんですけど」
「…意味わかんねぇ。そもそもお前らそんな接点」
「実は同中なんスよね。あの人憶えてないみたいっすけど。ま、当たり前か」

…おいちょっとまて、色々情報が入ってきて処理しきれない。高校に上がるまでは二口と葛城は接点ないと思ってたけど実は中学に会っていて?付き合おうと思ったけど好きじゃ?は、意味わからん。

「とりあえずお前失恋ってことでいいか?」
「は、葛城先輩相手に失恋とかマジムカつくんで嫌ッス」
「お前何なんだよ…」

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