帰ってきました宮城!いえーい!と仙台駅で両腕を上げる。…通行人に変な目で見られてしまったのでそそくさとその場を後にする。在来線に乗り換えておばあちゃんの家へ。ふふふ、東京土産東京バナナ、もにーとかまちは喜んでくれるかな。あ、二口君の分はありません。会う気がありません!おばあちゃんの家へのお土産は和菓子です、和菓子美味しいです。
メール画面を表示し「今ついたよー!」と、もにーに送る。会う約束は明日。はやーく明日にならないかなー。見覚えのある街並みが見えてきてやっぱりテンションが上がった。


「おばーちゃーん!ただいまー!」
「つぐみ、おかえり」

にこにこと出迎えてくれたおばあちゃんに抱きつく。「疲れただろ、休むかい?」という言葉に「うん、友達と会う約束は明日だし、ゆっくりするね!」とお土産をおばあちゃんに渡した。
田舎のお水はやっぱり美味しかったです。





▽△▽


そわそわ、待ち合わせの駅でもにーとかまちを待つ。楽しみ過ぎて30分も前に来てしまった…!ワクワクしながら時計を見つめる。

「あれ」

………うっ、この声は…。

「葛城先輩じゃないですかー。いつ宮城に?」

ぎぎぎぎぎ、後ろを振り向く。私の苦手度ナンバーワンの二口君が笑顔でそこに立っていました。隣にはガタイのいい男の人。こ、こわい…!

「ちょっと、帰ってくるなら教えてくださいよー。たまたまこの時間この場所通ったから会えたけど」
「べ、別に会いたくなかったもん…」
「え?なんか言いました?」

ぐぐぐぐ、と私の頭を押す。「うぎいぃいい」と声を上げると「なんスかその声」と笑われてしまった。手を離せ手を!と思っていると強い力が頭から離れた。
顔を上げると、二口君の腕を掴むガタイのいい男の人。「青根だんだよ邪魔すんな」という言葉に彼は首を振った。

「茂庭さんと鎌先さんの…友達」
「そ、そうです」
「…二口がちょっかい出すようなら見張るように言われた」
「げっ」

あ、この人凄くいい人だ。青根君と呼ばれた人は二口君の首に腕を回し「すんません、お邪魔しました」とずるずると二口君を引き摺り行ってしまった。…すごく、良い人。
その後もにーとかまちが来て、一緒にお出かけした。







「待ち合わせ前にね、二口君と遭遇した」
「秘密にはしてたんだけど、なんか怪しんでたからなぁ…二口」
「待ち合わせって大体あそこだから勘付かれたか…」
「でもね、青根君?って言う人が二口君引き摺ってどっか行ってくれたよ」
「一応って事で防衛線張っといたけど大正解だったな」


「なにが、大正解ですか先輩方?」


ぞわり、背筋が凍えた。
今度は3人で後ろを振り返ると、そこにはやっぱり二口君が居た。なんでこんなところにまで出現するんだ。

「二口、おま」
「もーずるいッスよ先輩ばっかり」

にやり、と笑う二口君。ササッとかまちの影に隠れるが「ほらほら先輩俺とも遊びましょうよ」と引きずり出されてしまった。そのままガシッと抱きつかれる。

「いぎゃー!離せ―!離して二口君!!」
「葛城先輩抱き枕の大きさに丁度いいっすよね。俺、抱き枕に技掛けしちゃう癖あるんスよ。こう、首をぽきっと」
「ひゃあああもにーかまち助けてぇええ」

首に腕をまわされてそんな事言われるもんだから、本気でやらないにしても怖い。というか二口君が怖い。ひゃああああ!と叫び声を上げもにーとかまちに腕を伸ばし助けを求める。かまちの般若顔が二口君の頭に直撃した。…え、かまち頭突き?頭突きした?「ウゴッ!?」という声とともに身体が放され、慌ててもにーの背中に貼りついた。

「お前いい加減に葛城いじめやめろ」
「えーいじめてないっスよ?遊んでるだけです」

ねー?葛城先輩!という言葉にぶんぶんと首を振った。遊ばれてます!私遊ばれてます!!

「先輩そんな茂庭さんと鎌先さんばっかりにくっついてると彼氏出来ませんよー?というか葛城さん高校生に見えないから彼氏出来ても中学生とですかね」

わしゃわしゃと私の頭を撫でる。イラァ…っとしてしまいベシン!と二口君の手を叩き落とした。両手の拳を握りしめる。


「同級生の彼氏出来たもん!」


えっ。と3人の声が揃った。え、なんでもにーもかまちもこれでもかってくらい目を見開いてるの?

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