「なんであのタイミングでそれを聞く?」
「はー、マジ笑った」

なんでこいつまた体育館に居るんだよ。思い出し笑いする黒尾と巳を睨む。誰かこいつらどうにかしてくれ。俺だってねーわ!って思ったよ。思ったけど口に出てしまった。

「しかもつぐみの答えが「二口君以外の人」とか」
「なにその二口君って。憐れ二口君」
「いいんだにゃ二口君とやらはつぐみ弄り大好き人間だから!」
「へー?なに?夜久のライバル?」
「大丈夫、同じ土俵に登ってないから。二口君はつぐみの中で苦手度ナンバーワンの人間だから」
「それ、夜久の順位にもよらね?」
「ぶくく、なんせただのお友達」
「やべぇ、笑い過ぎで腹筋痛ェ」
「運動不足じゃにゃいかー黒尾」

心の底から殴りたい。もういいや、こいつら無視して練習始めよう。と背を向けて…肩を掴まれた。「まだ話は終わってねーぜ夜久?」おい主将、早く練習始めろよ。


「でもさー二口君とやらは葛城が好きで可愛くていじめてんのかもしれねーぞ?夜久」
「あー…二口君はよくわからんにゃ。それよりもにーとやらとかまちーとやらだぜ?つぐみの口からよく聞くし」
「どっちにしても危ないな、夜久」
「そうだぜ夜久。さっさと告れよ」

にやにやと笑う。つーかそれ出来たら俺は苦労してねーっつーの。はぁ、と溜息を吐くと「恋する男子の溜息ですぜ黒尾さん」「そうだな、甘酸っぱいな巳さん」と余計な事しか口にしない2人。あんまりにもムカつくんで思いっ切り殴ってやった。






▽△▽


ともちゃんは「用があるからいってくるぜ!」と何処かへ走り去ってしまった。バイトもないし、真っ直ぐ帰ろうかなーなんて思ってたら先生に呼び止められた。

「葛城さん、花の苗が届いてるようだけど」
「え、本当ですか!」
「ええ、職員用玄関の前にあるわ。園芸委員でもないのにやる気ね」
「園芸委員の経費をちょっと回してもらいました」
「むしろそういうのが仕事なんだからいいのよ。じゃあ頑張ってね」
「はい!ありがとうございます」

そうとなれば花を植えに行かねば…!走って職員玄関へ向かう、途中体育館。そろり、覗くと……ん?ともちゃん?ともちゃんと黒尾君がなにやら大爆笑し、夜久君が赤くなって怒鳴っている。…なんか、楽しそう。むぅ…。

「ねぇ」
「ぴゃあ!?」

突然声を掛けられ声を上げてしまった。バッと体育館のドアから飛ぶように逃げる。ぬっと出てきたのはプリン頭の人でした。…金髪…金髪!?ふ、不良かっ!サッと腕を構える。…構えたところで何もできないけど!あ、よく見たら黒尾君と一緒に居る子だ。

「…なに、その構え」
「ぼ、防御の構えです…」
「……」

じっと、見下ろされる。金髪プリンさん、金髪プリンだけど不良っぽくないぞ…。

「夜久さんの」
「へいっ!?」
「夜久さんの……友達?」
「そ、そうです」
「ふーん…ちなみにあのうるさい先輩も友達?」
「…ははは、いえーす」
「うるさいから回収して。いっそクロも一緒でいいよ」
「クロ…お君?黒尾君はいらないかな」
「そう…さっきからうるさいから出来れば回収してほしかった」
「黒尾君バレー部じゃないの?」

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