「んー…やっぱり物足りぬ」
「パフェ以外は奢らないぞ」
「違うにゃー。まったく…萌えが足りないのだよ萌えが。ちびすけ、つぐみのあの格好、似合ってるけど違うって思うだろ?」

思わねーよ、つーか意味わかんねーよ。ズズズーと飲み物を飲む。ヤバイ、想像以上にコイツに付き合うのは疲れる。わかってはいたけど、葛城と話せるわけでもないし、一目見れたし偶に笑顔を向けてくれるし、もう十分だからはやく帰りたい。

「では作戦会議と行こうかちびすけ」
「勘弁してくれ…」
「まずちびすけ、つぐみとどこまで行った?手繋いだ?」
「友達になったばっかりなんだけど」
「じゃあ連絡先は?メアドは?ラインは?電話番号は?」
「…そういや、交換してないな」
「ちびすけ、つぐみと一緒に帰った日何してたんだよ…」
「うるせーよ」
「そんなんじゃ、つぐみの中学時代の友達に持ってかれるぜ?もしくはその後輩のいじめっ子」

ドリンクバーもう1杯取りに行こうか、と思い伸ばした手が止まる。にやにや笑う巳が本当にムカつくが、この際目を瞑ろう。

「…あいつが宮城に居た時の話だろ」
「でもあの子、割と宮城帰ってるらしいよ?母方の実家が宮城みたいだし。中学の中が良かった男子にもちょいちょい会ってるって」
「…ふーん、でも友達だろ」
「そう自分に言い聞かせんなよちびすけ。あと1年も無いんだぜ、私らが卒業するまで。おまえさん、そんなんじゃ卒業までただのお友達だぜ?」
「…わかってるよ」

つーか片思い長いよにゃ、ちびすけ。
その言葉に思考回路が完全にストップした。おい、コイツ全部知ってんのかよ。黒尾だって、知らねーぞこれ。1年の、夏過ぎたあたりからつぐみを視線で追うようになったよなー。という言葉に完全にお手上げだ。

「なにがきっかけさ。言っちゃあれだが、つぐみ1年の頃そりゃあもう地味っ子だったろ?地味でもぐぅかわだけど」
「きっかけ?………あれだ、気づいたら好きになってた」
「くそわろ」
「適当に答えた俺も俺だけど、お前ほんとムカつくな」
「ありがとー」
「どこをどう捉えてお礼を言ったんだ」
「ふふーん。ちびすけがつぐみに惚れた理由なんてどうせあれだろ。部活で沈んでたときに花壇の庭の水やりしてたつぐみと目が合って、「えっと…どうしたの?」って感じで話しかけられて、うっかり弱音吐いちゃったら慰められて、さらに笑顔を向けられてストンと恋に落ちちゃった少女漫画的展開でしょ」

なんでか全部ばれてる。

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