「葛城さんこれ13番テーブルにおねがーい!」
「はーい!」

学校が終わりダッシュでバイト先へ。後から来るであろう、ともちゃんと夜久君を少し気にしつつも業務をこなす。
バックヤードで少し休憩していると「どうした?なんかいつもよりそわそわしてない?」なんて、1つ上の吉井さんに言われてしまった。

「友達が来るんです」
「へぇー、そういや葛城さんの友達って見たこと無いね。他の高校バイトメンバーなんか友達来るとずーっと話し込んじゃってさぁ…。この前なんかその友達と一緒に腰掛けててさ。店長マジギレだよ」
「この前辞めちゃった子ですか?」
「そうそう、店長に逆切れしてさようなら。今の高校生は甲斐性無しだなぁ…あ、葛城さんはしっかり者の働き者だけど」

ありがとうございます。ところで吉井さん、今の高校生って言いますけどこの前まで高校生だった人ですよね?と言うとてへぺろ!と舌を出した。男の人のてへぺろはなんにも感じませんね、特に吉井さんだと。と言うとデコピンされた痛い。

「葛城さんの友達って可愛い?」
「私の中の吉井さんの株が大暴落しました」
「え、暴落じゃなくて大暴落?」
「あと男女できます」
「けっ!放課後デートかよ。葛城さん見せつけられちゃって可哀想に…」

憐みの目を向けられる。失礼な。しかもともちゃんと夜久君はデートではない…デートではない…よね?うーん、といつもの二人を思い浮かべる。…ともちゃんと、夜久君が…恋人、………うん、無いな。

「あの二人に限ってそれは無い」
「真顔でどうした葛城さん」
「でも万が一二人が……無いな」
「おーい?」
「二人が恋人同士とか、いやそもそもともちゃんに彼氏という想像が出来ません」
「どんな子なの」

言葉では言い表せないような子です。なにそれ超気になる話しかけていい?ナンパしたら吉井さんとはもうお話しません。厳しい!
なんて話してたら「ちょっと混んできたから表出ろー」と店長。はーい、と返事をし表に出ると

「あ、ともちゃん夜久君」
「にゃほーいつぐみ、きたよん」

丁度二人が来店していた。「へぇ」という吉井さんの声を背に「こちらへどうぞ」と案内する。待つほど人が来てなくてよかった。そして席に着いての第一声

「制服普通すぎてつまんね」
「ともちゃんは大手ファミレスの制服に何を求めているの」
「ぶーぶー。フリルメイド服ぅー」
「夜久君ごめんね、ここまで来るのにかなり苦労したでしょ」
「本気で疲れた」
「ちょいとお二人さん、私の扱い酷くねーかい?」

若干やつれた夜久君を見て、可哀想に思った。私は1年の頃から付き合いがあるからもう慣れたけど、ともちゃんを一人で相手するのはとてもとても骨が折れるのだ。そして私はまだバイト中だからともちゃんの相手をしてあげられない。夜久君、帰るまで頑張って。

「お決まりでしたらまたお伺いします。あ、あとやすいけどドリンクバーくらいだったら御馳走してあげる。勿論夜久君も」
「おーサンキュー」」
「わー!マジか!飲み物1本買えないつぐみ」
「ともちゃんの分は無しで」
「うそですごめんにゃさい」

それから一言二言話してから戻ると吉井さんが腕を組んで仁王立ちしていた。「なにしてるんですか、オーダー取りに行ってくださいよ」というと「普通に可愛くないか?」と言ってきた。吉井さんの視線の先にはともちゃん。うん。

「吉井さん店長に告げ口しちゃいますから」
「え、嘘ごめん冗談仕事しまーす」



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きらきら(当社比)してる人以外なら、年上だろうが普通に話せる

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