「…国見君?」
「…ああ、ごめん」
「どう、したの?」
「いや、わかりやすいなって思って」

なにが?と私は首を傾げると国見君が私の頬に触れる。かさり、音がしてはらはらと花弁が散った。

「なんだっけこれ」
「、ドラセナかな」
「意味はわからないけど、なんとなく想像出来る」

くすくすと国見君が笑うものだから、私は少し気恥ずかしくなって顔を下に向けた。先生が「さくらちゃんはわかりやすい子だから、色んな意味で国見君は大変だろうね」なんて言った事があったけど、成る程この事か。
顔が熱くなる。腕から蓮華草が咲いた。蓮華草の花言葉は憶えていた。思わず私はそれを掴み引っこ抜く。

「こら、肌が傷つくだろ」
「うう…」
「はは、今更なに照れてんだよ」

そう言って国見君は私にキスをした。うう、こんなんじゃ、お出掛けだって出来無いじゃない。「別にいいじゃん、家居るだけでさ」国見君が私のベッドに寝転がった。

「国見君つまらなくない?」
「さくらつまらない?」
「ううん、全然」
「俺も」

あ、でもちょっとその本読みたい。なんて花の図鑑を本棚から引っ張り出そうとした国見君を全力で止める。だめ、花言葉調べるの、だめぜったい!国見君の服の裾を引っ張る。「今更なに隠すんだよ」と国見君が笑う。


「まぁ意味はあとでネットで調べるとして」
「文明の利器使うのずるい!」
「冗談だよ。で、」


今度何処か行こうか、国見君がそう言った。私は悩む、私のこれはいつ何処で咲くのか予想が出来ないから。国見君は気にせずに笑う。

「さくらピクニックとか、好きだっただろ前から。公園の横をすぎて、坂道をずっと歩いて」
「あの丘、小学生の頃私達いつもあそこで遊んだよね」
「景色良いしね」
「お弁当作って、おやつも作って」
「シャボン玉すきだったよな」
「そうそう、シャボン玉が風に乗ってふわふわ舞いあがるの」
「おまえずっと眺めてたよな」
「大好きだったからね」

じゃあ今度の日曜な、と国見君が笑う。うん、キャラメル味のマフィンでも作ろうかな。お弁当、なに作ろう。私は色んな計画を立てる。国見君が優しい顔で、私を見つめる。



ふわり、桜の花が部屋を舞った。

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