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【黒尾鉄朗の話】


<じゃあ本当に落ちるわ。通知ウザいから個人でやってろ>

個人メッセージを送って来た夜久、これは本当に落ちたな。仕方ない、明日蹴られるのも嫌だしな、と俺は及川兄にメッセージを送った。つーかマジで楽しいわ。俺の予想ドンピシャじゃん。クツクツと笑っていると研磨に「クロ、きもちわるい」と白い目を向けられてしまった。ひでぇ言われようだ。

「というかクロ、危ないから家着いてからやりなよ。さっきからフラフラしてる」
「だってめちゃくちゃ面白いんだもんコイツ」
「、最近クロが気に入ってる子のお兄さん?」
「そうそう、俺の予想超ツンデレシスコン兄貴。どうやらドンピシャだったらしい」
「どうでもいいけど、そろそろ車に轢かれるよ」
「そういう研磨もずっと画面から目が離れてませんケド?」
「今ボス戦だから」
「理由になってねーよ」

今ここに夜久が居ようものなら2人して危ないだろ!と蹴られているところだろう。咎める人間が居ないとほんと俺らあぶねぇな。あと少しで家に着くし、<家着いたらまた連絡入れるわおにーちゃん>とメッセージを送る。数秒して<おにーちゃんって呼ばないでくれる?まだ認めたわけじゃないんだから>と返信がきた。娘で溺愛の父親じゃねーんだから、つーかマジで面白い。ぶくくくっと笑うと研磨に汚いモノを見る様な目を向けられた。



「あ、研磨飯食ってくか?」
「いい、今日母さんいるし」
「おー、じゃあまた明日な」
「ほどほどにね」


へーへー、わかってますよ。俺は研磨を背に家の中へ。つか研磨に「飯食ってくか?」とか聞いたけど今日俺んち誰も居ねーじゃんか。廊下の電気を付けて自室へ向かう。荷物を放り投げベッドへと転がった。さーて、さっきの続きと行こうじゃねーの。アプリを開くと、お、珍しい。あかりちゃんから通知が入っていた。


<えっと、デート中?です>

添付された写真には、ぎこちないけど笑ってピースするあかりちゃんと、肩組んでノリノリにピースして笑うリエーフの姿があった。写真撮ったの夜久か。つーか楽しそうだなちくしょう。俺もそっち行きたかった。


<俺とものが居ながら浮気はよくねーぜあかりちゃん>
そうメッセージを送る。返信は、期待しないでおこう。夜久あたりが呆れ顔してそうだし。さてと、俺は及川兄と面白おかしい話し合いでもするかね。


<よォ、待たせたなおにーちゃん>
<だからおにーちゃんって呼ぶな気色悪い>
<へーへー、じゃあなんて呼べばいい?及川兄>
<名前表示されれてんだからわかるでしょ。黒尾>
<てつでいいのか?てつ仲間じゃん俺ら>
<とおるだ馬鹿野郎>

ポチポチと押す文字めんどくせぇ。長期戦になる事はわかってるし。うーん、と俺は悩んである提案を思い浮かべる。


<めんどくせーから電話しねぇ?>

乗るか乗らないか微妙なラインである。普通見知らぬ人間と電話死ねーよな。しかし俺、あかりちゃんの先輩。そして仲の良さを醸し出す。そしてコイツ、多分シスコン。さて、釣れるか。

<いいよ、聞きたい事いっぱいあるし、ねぇ?>


想像以上にちょろいなこいつ。
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