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2016/03/16
09:56

「飛雄君、一緒に帰ろ!」
「部活だっつーの。俺待ってないでさっさと帰れよボゲェ!」
「そっか…飛雄君部活かぁ…一緒に帰れなくて残念。飛雄君、練習頑張ってね!」









「なんか影山、調子良くないか?サーブとか神がかり過ぎなんだけど」
「あ、なんか彼女に頑張ってとか言われたみたいです」
「へー…は、カノジョォオオ!?」






※このお話の説明※

○っくんとカノジョパロです。
ツンツンツンデレ彼氏の飛雄くんとほんわか彼女ちゃんのお話。


影山飛雄
彼女ちゃんの幼馴染で現在彼女ちゃんとお付き合いしているツンツンツンデレストーカー系彼氏。彼女ちゃん大好き過ぎて危ない人。危険分子は片っぱしから排除。ガラケーの画質の悪さに絶望して、最近スマホに変えたいとか思ってる。デジカメ所持、イヤホン所持、盗聴器良し。父から譲り受けたネットにつなげられないPCは宝の山。一応結婚まで考えている。きもちわるい。


カノジョちゃん(名前思いつかなかった)
飛雄くんのカノジョ。ほんわか系純粋女子、飛雄大好き。飛雄のツンデレには理解がある、がストーキングの事については全く知らない。ホラー大好き人間。


日向翔陽
被害者その@。飛雄に敵視はされていない。「マジあいつヤバイ」飛雄のストーキング行為を目撃してしまった人。まぁ、ラブラブならどうでもいいんじゃね?俺は関わり合いになりたくない。


月島蛍
被害者そのA。王様の行動に最早何も言えない。「お願いだから警察沙汰にはしないでよ」マジトーンで言う。何故かカノジョちゃんに飛雄と仲が良いと誤認されている。
「おい月島、あいつが言った事は全部本当にならなきゃいけねーんだ。仲良くするぞ」「御免被る。ていうか近づかないで気持ち悪い」


山口忠
影山の言動にハラハラしている人。「ツンデレ?うんツッキーの事だよね?」月島以外のツンデレは居ないとしている。「ああ、影山またカノジョちゃんにあんな事言って…!可哀想でしょ!」まともかと思いきやそうでも無かったりする。



谷地仁花
び、美男美女かっぷる…!と感動していた子。蓋を開けると飛雄の暴言ばかりでちょっと吃驚している。「でもあれって影山君の照れ隠しだよね!私知ってるよ!影山君の生徒手帳にカノジョちゃんの写もがっ」
カノジョちゃんが飛雄の暴言を全く気にしていないのも知っているし、影山の暴言が行き過ぎた照れ隠しだと理解している。でもツッコミどころ満載だろう。





◇◆◇



【写真とイヤホン】


「ねぇ飛雄くん、友達からね水族館のチケット貰ったの!一緒に行こうよ!」
「は、んなもん行くわけないだろ…俺バレーで忙しいんだから」
「んー…そっか。残念」
「んなわかりきった事聞くんじゃねーよボゲェ!」
「ごめんね飛雄くん」







「で、影山君はなんで俺の教室にきてるのかな?」
「は?自分の教室で計画立ててたらあいつにバレるだろ」

影山が1組に来た。なんでも某カノジョにデートに誘われたらしい。影山自分からデート誘えよ!無理だってわかってるけどさ!ルーズリーフと水族館のパンフレットを机に乗せ、「あいつが好きなのはペンギンと…」なんて赤ペンでルートをなぞっていた。なぁ、俺聞きたいんだけど、お前カノジョちゃんに「部活あるからいけない」って断ったんだろ?「俺があいつからの誘いを断るわけないだろ何言ってんだ日向」いやお前が何言ってんの?まぁそこはカレカノの以心伝心って事でスルーしておこう。あ!影山が声を上げた。どうせまたどうでもいい事を口にする気だ。


「前あいつと遊園地行った時のあいつの写真見るか?」
「別に良い。お前のラブラブ写真とか興味無いし」
「ほれ」
「いいって言ったじゃん…!」

グイッと顔に押し付けられた写真。なんでお前前のデートの写真持ち歩いてんだよ!自慢か!仕方なく俺は押し付けられた写真を見る。「可愛いだろ」気持ち悪いほどデレデレの顔の影山を正直見ていたくない。写真に目を落とし…?なんか違和感を覚えながら写真を捲る。

「…なぁ」
「なんだよ、1枚たりともやらねーぞ」
「いらねーよ!そうじゃなくてさ…」

机の上に全部の写真が見えるように広げる。「…やっぱ可愛いな」真顔の影山が怖い。俺は再び口を開く。

「なんでお前が映ってる写真が1枚もないわけ?」
「俺があいつと一緒に写真に映れるわけねーだろ」

あいつの隣に1分以上いるだけで息苦しくなるんだからな!真っ赤に顔を染める影山。あれ、片思いとかじゃなくてカップルだよな?おまえら。数10枚ある写真の何処にも影山は映っていなかった。


「ってちげーよ。どこ回るかルート決めねーと」

何故かイヤホンを取り出し、何かの機械にぶっさす。目を瞑り………「クラゲ見たいんだとよ」パンフレットを見てまた赤線を引いていた…ってちょっと待て!

「そのイヤホン何!?」
「あ?カノジョの声だけど」
「何!?え、なに!?盗聴!?」
「…………」
「なんか言えよ!」


俺の相棒が怖い。






◇◆◇



【北一出身の彼】


あ。その後ろ姿を見て懐かしく思った。王様こと影山の幼馴染…風の噂だと彼女になったらしいあの女子が俺の前方を歩いていた。思い出される記憶……正直抹消したいものばかりだ。






まだ俺らが仲が良かった1年の頃、そう、まだ影山の顔に愛らしさが残っていた頃だ。俺と金田一は影山の家へと遊びに行った。リビングで俺らが持ってきたゲームをして、影山のお母さんが作ったおいしい料理を食べて、また飽きるほどゲームをして…影山の奴ゲームやったことないとか言ってたくせに妙にうまいんだけど。その時は特に気にも留めずに「あ、ゲームにハマったんだな」ぐらいしか考えてなかった。
夜も遅くなってさてどこで寝るかという話になった。「え、影山の部屋でいいんじゃないか」金田一の言葉に俺は頷く。ああでも、3人で寝るんじゃ狭いかもしれないな。「広さは別に平気だけど」そう言って影山の部屋に通された。

ああ、記憶抹消したい。


「………」
「………」
「どうした?」

どうした?じゃねーよ!なんか恐ろしいものが部屋の向こうに見えたぞ。思わず閉めてしまったドアをゆっくりと開ける。


「………」
「………」

何度見ても同じだった。よく影山と一緒にいる女子の写真が壁中に貼られていた、なにこれ怖い。「…え、っと…これ影山の幼馴染の女の子だったよな…?」引き攣りながら金田一が聞くと影山がこくん、と頷いた。


「俺の幼馴染、知り合ったのは小学校からだけど」

平然と自分の部屋に入る影山にどうしたものか。正直足を踏み入れる自信がない。つーか怖い。なにこれ、あれだ。なんかニュース特番とかでやってた、ストーカーとかいうやつの部屋だ。危ない奴だ。ごくり、唾を飲み込んだ。

「えーっと影山」
「おい金田一、よせ」
「この子、お前にとってなんなの?」

は?まるで意味が解らない、そんな表情をしながら影山は言い放った。
その言葉を口にしたとき影山は真顔だった。恐ろしいほどの真顔だった。



「天使だけど」






あの時の事がなければほんと、影山ってただの口悪王様だったんだよな…。遠い目をする。空を見上げて、うん、中学時代の事は全部忘れようと決め前を再び向くと――影山が居た。影山が俺の前方、あの幼馴染の後方、電柱の陰に隠れていた。ガチストーカーだった。なんか耳からイヤホンのコード見えるんだけど。違うよな?というかお前ら付き合ってるって噂だけど?
俺は考えることを放棄した。遠回りだけどいいや、違う道行こ…。




◇◆◇



【月島君と仲良し】


「心の底から不本意だけど俺はお前と仲良くする」
「気持ち悪いんだけど」

突然教室に来たかと思えば王様にそんな事を言われた。今の僕はすごい顔をしてるだろう。そんな事は全く気にも留めず王様は口を開く。

「あいつが俺と月島は仲が良いって言ったんだ」
「何処をどうみたらそうなるのかあの子に聞きたいんだけど」

僕と王様そんなに会話した事ないし、クラスだって違うのになんでそうなった。ただ部活が一緒なだけだろ。「この前あいつがちょっと部活覗きに来た時俺と月島の言い合いを見て何故か仲良しと判断したらしい」どういう思考回路なのさ。喧嘩するほど仲が良いとでも言うのだろうか、全く持って不愉快だ。「で、その話と僕が王様と仲良くすることとどう繋がるのさ」そう聞くとは?と王様は首を傾げた。


「あいつが言う事は全部本当にならなきゃいけない」

どんな世界だよ。真顔で言い放つ王様に僕は距離を置く。前からヤバイと思ってたけど本気でヤバイ。「なに、彼女がカラスは白いなんて言ったらカラス白くするの?」「は?当然だろ」駄目だコイツマジでヤバイ。

「まぁあいつそんな無茶振り言わないけど」
「僕と王様が仲良くなるっていうのが無茶振りなんだけど」

俺が我慢すればなんとかなるだろ?僕が嫌なんだってば、何が悲しくて僕が王様と仲良くならなくちゃいけないのさ。無駄な口論を繰り返す。「あ、飛雄くん!」あ、元凶が来た。

「教室居ないから何処行ったんだろ、って探してたんだよ?」
「しらねぇよ、なんで休み時間お前と一緒に居なきゃいけないんだよボゲェ!」
「休み時間月島君の所に行くなんて、流石仲良しだね!」

ちょっと口出しして否定したい。がしかし、王様がとんでもない眼力で僕を睨んでくる。余計な事言うなオーラ半端無い。グッと言葉を飲み込み口を固く閉じた。

「お友達との時間邪魔しちゃ悪いから私自分の教室に戻るね」
「さっさと帰れ」
「うん、じゃーね!」

いやいや、王様それでいいの?彼女帰ったけど?教室から出て行った彼女の背中を見送って王様は深い溜息を吐いた。


「あいつと同じ空気吸うのに緊張して息苦しい」
「頭大丈夫?」

心の底からドン引きした。顔真っ赤にしてるし気持ち悪い。「というか僕と一緒に居るよにあの子と一緒にいなよ」僕は至極当然の事を言う。「ばっかじゃねーのお前」何故か睨まれた。


「あいつとずっと一緒に居るとか、緊張して俺が死ぬだろ」
「君ら付き合ってるんだよね?」





◇◆◇



【カメラ】


カシャッ
カシャッ
カシャカシャカシャカシャ


「……なぁ」
「んだよ、いま真剣なんだ邪魔すんな」
「お前隠し撮りやめろよ…!」

相棒がデジカメ持ちこんでは彼女を隠し撮りしてるから怖い。




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っていうひたすら影山君が気持ち悪い話。デレ回も書きたかったけど断念。ひたすら影山君が気持ち悪い。周りの人が被害者すぎて可哀想。しかし書いている私はとても楽しかったです。

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