フリではない
「どうだ?似合っているか?」
疲れた体を引きずり、帰宅した扉の先にいたのは、奇妙な格好をした同居人だった。
「何してんだ、てめえ。」
「む?このような格好に欲情するものだと聞いていたが?」
このような、というのは素肌にエプロン、という破廉恥極まりない代物である。悩ましかろう、と意地悪い八重歯を見せつけるDIOに抱えた頭が上がらない。
「さて、飯か?風呂か?それとも私が?」
どこで覚えてきたかもわからぬ定番の台詞に、目眩までしてきた。
「じゃあ風呂…」
「言っておくが、準備はしておらんぞ。」
勿論飯もだ、と言われては起こる気も失せるというものだ。
「実質一択じゃねえか。」
「お前の答えも元から一つであろう?」
首に腕を回し、挑戦的に微笑む姿に溜め息をつく。
元がいいのは認める。
病的なまでに白い肌や、赤く挑戦的な瞳、長いまつげに縁取られた目、血のように赤く男を誘うような唇。しかし性格に難がありすぎて、素直に喜べないのだ。
「…シャワーを浴びてくる。」
「なんだと。私で勃たぬとはクソほども役にたたぬモノだな。」
「体くらい洗わせろ。いつもきたねえって言うだろ。」
そこまで言ってやれば気づいたようだ。満更でもない、と頷く彼女に溜め息をついた。
「だから待ってろ。もう余計な事はするなよ。」
「余計とはなんだ余計とは。」
「…ついてくる、とか。」
「ほう、それが余計な事というのか。」
ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら、後ろをついて来るということは、そういうことなのだろう。自分が煽った事ではあるが、頭を抱えたくなってしまう。
「…なにもするなよ。」
「なにも?『なにも』とは?」
「言わせるなよ」と力なく呟いた言葉に、DIO魔性の笑みが一層深くなった。
++++
放置長すぎワロタ
14.8.10
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