*頼みの
昼寝をしていたら、いきなりクラスメートにたたき起こされた。何事なんだ、ボクは眠いんだ。始めはぼんやりした頭が、話を聞いた瞬間に一気に冴える。
大変だ。
報告に来てくれたデュースもおざなりに、鳴き声のする方へと駆け出した。
現場にくると、人だかり。エースを見つけた女性陣が駆け寄ってくる。
「おいで、って言うけどダメなのよ。」
木の上で立ち往生している猫が一匹。
身軽なエイトが迎えには行ってるが、それでも動かずてんてこ舞い。高いところは慣れているから大丈夫だろうが、どうしようかとずっと困っている顔をしている。
最初は高さに困っていたが、今は人の多さに萎縮しているのだろう。しきりに首を振り、人の顔を探している。
「マキナ、おいで。」
腕を広げて、受け止めるという意思を見せるレムなのだが、いかんせんか弱い女子だ。飛び降りていいものか、と困惑くしているのが見て取れる。
「マキナー、大丈夫だよー。受け止めるからー。」
大型犬もワンワンと鳴くが、動く気配すらない。
「マキナ!」
声を聞きつけ、耳がピンと跳ねた。ニャーと返事のように何度も鳴いていると、見つけた。見慣れた金色がかった銀の髪を。
おいで。
言葉が発される前に、エースの視界は上へとスライドされる。頭を強く打ったが、人体と記憶には問題はない。
「大丈夫か?」
「マキナこそ。」
心配する割には、どく気配はない。
++++
何も考えずに登って、戻れなくなるのが猫だっけ
12.8.25
[ 135/792 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]